この手に余る幸せを【約ネバ/短編集】

伝染【レイ】(ぬん) ページ12

・


【著作:ぬん】


・



真っ白な雪景色を見ながら帰路に着く。隣には寒そうに白い息を吐き出す彼、レイがいて、その姿を見て思わずふふっと笑ってしまった。


「なんだよ。」
「ううん、なんでもない。」
「なんでもなくねーだろ。」
「い、いたいって！！」


彼はジト、と私のことを見ながら頬をつねった。すると、痛がる私の顔があまりに変だったのか彼まで「はは」と笑い出した。

笑顔は伝染するのだと、そこで初めて気づけたのだ。


「楽しいなぁ…。」


何気なく呟いたそれを聞いたレイは突然立ち止まった。
なんだ？と思い振り返れば、そこにはふわっと笑うレイの姿が。


「俺も、楽しいよ。」


彼の頬が寒いからか、照れてるからかはわからないが、赤く染まっていた。
そんな彼の姿を見て私も頬が熱くなる。


「レイが照れるから私まで照れちゃったよ。」
「うるせー。」


顔の熱さも伝染するのか。
お互い顔を真っ赤にして笑いあう。
寒いけど、頬だけはあったかいのだ。



「私、冬が好きなんだよね。」
「なんで？」
「寒いでしょ？だからより一層、レイの体温が恋しくてたまらないの。」



私がそう言えば、彼は驚いたような顔をする。
そしてその数秒後、何も言わずに手を差し出してくれるのだ。



「あったけぇーな。」
「あったかいね。」


体温も伝染するのか。




「幸せ！」




レイといると、なにもかも伝染してはされていく。



「レイ、大好き。」
「……俺も。」



全部の伝染

ずっと続いててほしいな。



・

((短くてすみません))


NEXT→菫の花

優しさは毒1【ノーマン】(菫の花)→←泣くほど良かった？【ノーマン】(相沢恋)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す