【鬼滅の刃】憂い夜に咲く水草華。【竈門炭治郎】 (ページ12)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:25,090 hit

十一話ページ12

「北東ニ向カイ、屋形ニ住マウ鬼ヲ滅セ、トノコトデス」

『そっか、ありがとう玉艶』

お館様の依頼を受けとり、その依頼の場へと足を進めていた。

今回の鬼は館に住まう…つまり、日光の当たらない場所にいるっていことか。

基本、首を切ればそれで終わりだが…できればそれは避けたい。

呼吸も使いこなせないし、首を切ればどれだけしっかり意識を持っていても泣いてしまう。

「ココニ来タ鬼殺隊ハ皆帰ッテキテイナイト聞キマス。オ気ヲツケテ」

『わかったよ。玉艶は危険が及ばない場所に行っててね』

「承知致シマシタ」

羽音がその場に響けは、左肩は重みをなくし、軽くなる。

今は昼間だ。ここから引きずり出すのが得策。一番戦いやすい。

すらりと音を立て、黒光りする鞘から刀を抜き取る。

美しい青い刀身。きらりと輝くその刀はまるで水の入ったガラス瓶のように、

動かせば中の液体が波のごとく動く。

その波は光にあたり、まるで宝石のようにきらめく。

これを作った刀鍛冶さんはとても怒っていたな。

綺麗な赤い刀が見たかったらしい。青く染まってすごく怒られた。

ここまで美しい刀を打った僕の刀鍛冶さん、今、元気だろうか。

『…今はそんな暇じゃないか』

一歩進めばじゃりっと砂と砂がこすれあう音が響く。

屋敷にまとわりついた鬼の色は一つのみ。それ以外は人の気。

おそらく前に来た鬼殺隊の誰かだろう。

帰ってこないのなら死んだ。

そう考えるのが自然。

『だとしても、冷静ではいられないかもしれないな』

頭に血がのぼるのを感じながら、

僕は屋敷の中へと飛び込んでいった。