零話 ページ1
どろんと呆けた夜に煌めく斬撃が飛んだ。
美しく光る太刀筋。それに合わせて跳ねる血飛沫。
暗がりに煌めく刃は月明かりを纏ってもう一度、華麗に振られる。
『ッッぶはぁ!』
体を凍らせてしまうのではと思うほどに冷たい外気に包まれ、その中に溜め込んだ息を吐き出した。
白い煙が口の中から溢れ、空中に霞んで消えていく。
冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んで、痛くなる鼻を押さえた。
呼吸の苦しさから地面に膝をついて胸元を強く押さえ、隊服の黒い服を強く握りしめた。
灰となって、骨も残らない死骸たちに荒い呼吸で、涙目のまま目を向ける。
じんわりと心を侵し、雪の如く降り積もっていくのは罪悪感のみ。
寒さからか、または怯えなのか。がちがちと歯を鳴らし震え上がる。
震える手で刀を鞘にしまい、力の入らない足を無理やり奮い立たせる。
冷え切った空を見上げると攻め立てるように雪が降ってきた。
今日もまた、息苦しい日が終わる。
朝日が昇って明るく照らされる世界に少女は安堵した。
伸びる影が、ゆらゆらと心を表すように揺れる。
寒い冬の日。
全てが始まった。
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八雲(プロフ) - とても続きが気になります!!更新楽しみに待ってますね! (2019年5月27日 21時) (レス) id: ee1ccd9f95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とりまろ。 | 作成日時:2019年5月5日 14時