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煌びやかなシャンデリア、豪華な食事、各界の有力者が顔を揃える場所。ブルーのドレスを身に纏い、現在私は紛れもなく仕事中。
「ご挨拶に行ってくるわね」
「ご一緒致します」
局長を通し、直接依頼された案件は、この女性の警護。本来ならばこのような案件の場合、現場で警護に当たる者、状況を見つつ指揮を執る者、万が一に備える別働隊と複数人で動くのが普通なのだが今回は全くの単独の上、恐らくまだ降谷たちも私がこの警護に付いていることは知らない。
大の男嫌いであるということ。
聞く話によれば、男性恐怖症というわけではないそうだが、仕事であってもなるべく男性との接触を断ちたいらしく警護としてでも絶対に嫌だ、信用出来ないと言われたと言う。ただ、力がある人物なだけに狙われたことも過去にあり、公安唯一の女である私に白羽の矢が立ったというわけである。
まさか男嫌いだとは知らなかった。これだけの美貌を持ちながら噂のない人物だとは聞いていたが、人は見かけに寄らないな。
「Aさん、大丈夫?」
「私、ですか?」
「ええ、疲れないかしら。ごめんなさいね、付き合わせてしまって」
「私はこれが仕事ですので、皆瀬さんのお傍を離れては意味がありません」
「そうなんでしょうけど…私の我儘でスーツも着替えてもらってしまったから…」
そう、これは私の持ち物ではない。正装は持っているが必要だとは思わず用意はしなかった。そしたら皆瀬さんからこのドレスを渡され着替えて欲しいと。確かにここで女性のスーツは浮くかもしれない。警護を大っぴらにはしたくないのだろう。
大丈夫だと伝え、そのまま警護を再開。決して悪い人ではない、上品で淑やかな女性だ。それでも狙われるというのが権力者の宿命か。
自分の傍にいるわけでなくても男は嫌だというのは相当だ、それだけ嫌なのによく笑顔で挨拶が出来るなと感心してしまう…流石元女優。
脅迫状が来たわけでも、誰かに付けられているというわけでもない、あくまで万が一を想定した警護。局長もそれを踏まえて単独警護を了承したのだろう。話しておくと言われ、特に何も言わずに出てきたけれど…降谷と緑川にくらいは言った方が良かったか…?まあ大丈夫だろう、きっと
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作者名:真琴 | 作成日時:2018年4月20日 23時