見込み違い(正門) ページ11
1/5 (notアイドル)
「これ食べ終わったらうち来えへん？映画観たいわ」
この辺りで違和感はあった。
今村さん、5つ年上、先々週の合コンで知り合った人。
同僚たちがうまいこと相手を定めていく中、何となく私たち余りましたよね？という空気でカップリングした。
えへへ、と愛想笑いを繰り返した後ラインを交換して、メッセージのやり取りをして、本日、めでたく初デートに行ってきたのだ。
「映画いいですね。でも終電なくなってまうんで…」
「泊まってもええよ？」
「や〜、でもなんも準備持ってないですし」
「コンビニで買う？そんくらい出すし」
それまでのぎこちない会話に比べて、家に誘う為のセリフだけはポンポン出てくる彼に、私の中のセンサーが反応した。
"この人、危ない"。
上品なメガネをかけていても、無印店員みたいな笑顔をしていても、やっぱり"男"だった。
「今日楽しかったし、このままバイバイするのは勿体ないと思うんよな〜。もっとお互いのこと知りたいやん？」
「それは「お待ちどおさま！」……え？」
今村さんと私の間に割り込んできたのは、頭にタオルを巻いて香ばしいお肉の匂いを漂わせた店員さん。カウンターにドンっと置かれた生ビールを、注文した覚えはない。黒いTシャツの背中では、笑顔がいちばん！という白い筆文字が、力強くうねっている。
「ずっと焼き場立ってるんで、お兄さんたちみたいな人、結構見るんですけどね」
今村さんがどんな顔をしているかは、店員さんに遮られて見えない。おかげで私は気兼ねなくTシャツの背中の文字を眺めていられる。"笑顔がいちばん！"だって。うんうん、その通りだ。
「今日は成功せえへんから、やめといた方がいいですよ」
「「え？」」
こんな所で今村さんと声がハモるとは。
だって、まさかそんなこと忠告されると思わない。
案の定、今村さんは何言ってるんすか？と反論している。けど、店員さんも屈しない。
「何言ってるんすか？はこっちのセリフですよねぇ？」
「え、あ、はい」
あまりに自然に話を振られたから、思わずうなずいてしまった。
「ほら。お兄さんが恥かかへん内に、これ、お会計。良い思い出だけ残して帰りましょ」
そう言ってテキパキと会計を済ませた店員さんは、最後にはありがとうございましたぁ〜とめちゃくちゃ良い笑顔で今村さんを送り出していた。
え……何者？？？
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黒雷憂無(プロフ) - コメント失礼します。神様のねがいごとの長編見てみたいです！ (3月10日 1時) (
レス) id: 3082381280 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - シキさん» シキさん、コメントありがとうございます！うわ〜嬉しい！ぜひ長編をお待ちくださいませ！ (2022年12月7日 22時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - コメント失礼します！神様のねがいごと、めちゃくちゃ続き気になります！よければ長編楽しみにしてます♡ (2022年12月7日 3時) (レス) @page39 id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
三十谷みそ(プロフ) - yuksaさん» yuksaさん、コメントありがとうございます！読みたいと言ってもらえると書きたくなりますね(笑)嬉しいです。続きアップできるようにがんばります。 (2022年12月3日 0時) (レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
yuksa(プロフ) - はじめまして。神様のねがいごとの続き、すごい読みたいです。面白かった！ (2022年12月3日 0時) (レス) id: 1137319ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三十谷みそ | 作成日時：2022年4月6日 23時
