【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その15(夏編)

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気のせいかな、廊下から留三郎くんらしき人の声が聞こえたような気がしたんだけど…。
そう思いながら医務室の障子を眺めていると、伊作くんが障子を開けて入って来る。彼の早い帰りに目を瞬かせた。そしてすぐさま問いかける。

「伊作くん、外に留三郎くんが居るの？」

伊作『ん？あ、そうなんだ。僕が食器を運ぶと割る可能性の方が高いから代わりに、ね』

『あはは…』と苦笑いを浮かべる伊作くんに全てを察した私。
あー…なるほど。だからここまで無事に雑炊を運んで来れた訳ですね。
それにしてもこんな夜遅くまで伊作くんにも留三郎くんにも起きててもらっちゃって悪いな…。1人になるのは心細いけど迷惑は掛けたくないし…。

「伊作くん…私ならもう大丈夫だから、部屋に戻って良いよ。明日も授業あるでしょ？」

私がそう言うと伊作くんはきょとんとした表情をした後、小さく笑い私の隣で横になり始めた。

伊作『さっき引き留められたから、一緒に居ない訳にはいかないよ。僕なら大丈夫』

無意識に引き留めちゃったんだけどな…改めて言われると恥ずかしい。

「そう言えば…勝負の決着は着いたの？伊作くんが私を見つけてここまで連れて来てくれたのなら6年生の勝ち？」

伊作『さすがにあの状況で続行は不可能だよ。あ、そうそう。学園長先生がAさんが怪我をして帰って来たって聞いて泣いて反省していらしたよ。明日にでも顔を出されるんじゃないかな』

泣いて反省するくらいなら最初からこんなことに巻き込んだりしないでくれ。
ま、私もこんな事になるなんて思ってもいなかったから特に怒ったりはしてないんだけどね。
高級和菓子2つで手を打ってやろうじゃないか。

伊作『…僕たちにも非はあるんだけどね。あの時、こんな勝負なんてせずにいたらAさんは怪我をしなかっただろうから』

目を伏せ悲しい顔に笑いを浮かべ私を見る伊作くんに胸がぎゅっとなった。

「伊作くんたちのせいでも何でもないよ。私もあの時強く嫌だって言えば良かったんだし。でも…あの時何かちょっと楽しそうだなんて思っちゃったから自業自得だよ」

学園長の突然の思いつきにももう慣れたし、あれがこの世界、忍術学園での生活の一部なら避けられない。それに、何だかんだ最後には楽しかったで終わることが多いから今となっては「またか…」と思う反面、少し楽しくなってきているのも事実。

だから誰が悪いとかそんな事は思ってないけど、高級和菓子2つは譲らないし、譲れない。

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