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彼女の態度からどうも腑に落ちない所がある上級生達だが、山田先生がそう仰るならそうなのかもしれないと思うと誰も追求はしなかった。
「(タソガレドキ忍軍の組頭に教わってるなんて言ったらみんなに怒られそうだし…山田先生ありがとうございます…!)」
山田『(Aくんがたまにコソコソと外出してタソガレドキの忍者と会っていることは把握済みだ。今のところ変なことはされていないようだし、目を瞑っていたが…こりゃ、上級生にバレるのも時間の問題だな)』
安心しているのも束の間、直ぐにキョロキョロと辺りを見回しとある人物を捜し出す彼女。
「…八左ヱ門は?」
少し言いにくそうに八左ヱ門の名を出した彼女。無理もない、先程彼の急所を蹴り上げたのだから。
三郎『八左ヱ門ならもうすぐ来ると思うぞ。…ほら、来た』
三郎が顔を向けた先にはどんよりと暗い影を背負って歩いている八左ヱ門。彼の心の傷は想像以上に深そうだ。Aは恐る恐る彼に近付き袴をぎゅっと握り締めながら泣きそうな表情で彼の顔を覗き込んだ。
八左ヱ門『えっ?な、何で泣きそうな顔をしてるんだ?どうした?何処か怪我でもしたのか?大丈夫か?』
Aの表情を見た八左ヱ門はギョッとし、先程までの黒いモヤは何処へやら両手を上下に振りながら目の前にいる彼女の心配をし始める。
すると彼女は小さい口を薄く開き謝罪の言葉を述べた。
「…さっきはごめんね」
八左ヱ門『え?…あぁ、もう気にすんなって。ま、本音言うと本気で痛かったし驚いたけど…それくらいAも必死だったってことだろ?俺は大丈夫だからさ。あー…そんな泣きそうな顔するなよ』
こんな時どんな言葉をかけたら良いのか分からない八左ヱ門は片手で頭をガリガリ掻きながら困ったように笑った。好きな子が泣きそうな顔をしているなら尚更だ。
「んんん…でも、その…手当て出来る場所じゃないし…あ!じゃあ、お詫びに何でもするから何でも言って!」
自分のした事が自分で許せない彼女は彼に対して何かをしないと気が済まないらしい。彼女の言葉に八左ヱ門は目を丸くした。
八左ヱ門『…何でも?』
「うん、何でも。あ、私に出来る範囲でお願い…」
すると八左ヱ門は少し考えたあと、目線をあちこちに泳がせつつ頬を掻きながら口を開く。
八左ヱ門『あー…次の休みにさ、街まで行く予定があるんだ。良かったら一緒に行かないか…?』
「…そんな事でいいの?」
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りっか(プロフ) - 雅さん» 急にお兄ちゃんって呼ばれたらそりゃ赤面しますよねwwwでもあの二人の関係は先輩後輩であり兄弟でもありです!熱血ですもんね!2人して! (2022年11月5日 11時) (レス) id: a1a5c64e20 (このIDを非表示/違反報告)
りっか(プロフ) - 雅さん» 遅くなってすみません!!分かります(笑)何とも言えない気持ちがお腹の辺りをうずうずさせられました(笑)でも留三郎はやっぱ三男だったんだな〜って思いましたね。個人的にはあの面倒見の良さから下にも居るのかな?なんて思っていましたがどうなんだろう🤔 (2022年11月5日 11時) (レス) id: a1a5c64e20 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 浜守一郎さんの恥ずかしい表情と食満先輩がびっくりするぐらいの真っ赤な(?)表情、「可愛かったな…😳」っと思って(笑)※『籠城の記憶の段』のお話より。 (2022年10月22日 19時) (レス) id: 6b30a233dd (このIDを非表示/違反報告)
雅 - りっかさん» りっかさん…確かにヤバかったです…🥶私、恥ずかしいくて死にそうで涙が出てしまいそうですぅ…正直に『お兄ちゃん』って呼ぶのはやめて欲しいです…はい…😭🌀 (2022年10月22日 18時) (レス) id: 6b30a233dd (このIDを非表示/違反報告)
りっか(プロフ) - 忍たま好きさん» 忍たま好き様ありがとうございます(´;ω;`)そう仰って頂けてとても嬉しいです…一日に1行程度しか書けない状況ですが今後ともよろしくお願いします! (2022年10月16日 20時) (レス) id: a1a5c64e20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りっか | 作成日時:2022年8月21日 8時