【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その11(夏編)

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鹿之介 side



「僕は何をやっているんだ…」

医務室から出て廊下を歩いている途中でポツリと呟く。
思い出すのは先程の自分の行為。



初めに会った時はツンケンドンな態度で僕の言うこと全てに反抗していたあの女。
顔は可愛いくせに性格は全然可愛くない奴だった。
だけど、僕以外と接している時の彼女はとても穏やかで優しい顔をして笑っていた。
胸の奥がぎゅっと苦しくなりなんとも言い難い感情が渦巻く。その度に口を次いで出てくるのは悪態ばかり。

突っ走る感情のままに言葉を走らせていたら、彼女はとうとう怒りを露にした。
僕が馬乗りになっても物怖じしない態度にますます腹が立つ。何だこの変な女だと思った。

6年の奴らに止めに入られ別々で話を聞かれた時に、あの女がどれだけみんなか大切にされてきているのかが分かった。
僕のこの性格は生まれ持ったものなんだから仕方ないんだ。今更直そうとしてもおそらく無理。

でも彼女が見せた一瞬の、ほんの一瞬の悲しそうな表情を見て謝ってあげなくもないと思った。
彼女を追い掛けて事務室へ行ったは良いが、この僕が謝っているのにも関わらず無言を貫く彼女に腹立たしいとも違う感情に襲われ帰ろうとした刹那、切羽詰まった助けの声に慌てて戻り中を覗けば床に倒れている彼女の姿と侵入者を視界に捉えた。
その瞬間、煮え滾る程の怒りに支配された僕はその後の記憶があまりない。気付けば侵入者を撃退しており、彼女を抱えて医務室へと向かっていた。

手当を受けている彼女の傍で正座をし黙っていると、校医の新野先生が小さく笑っていらっしゃった。

新野『いつもの君らしくないですね』

そんなの言われなくても分かっている。
自分でも何で今ここにいるのか分からない。この女が別にどうこうなったところで僕には何の関係もないはずなのに…万が一の事があったらと考えると動悸が激しくなる。

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