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31.昔話 ページ31

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幸せな時間はいつ終わるか分からない。

だから俺は

幸せな時間は不幸の前触れなんだと思っていた。



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俺がそう思ったキッカケは、俺がまだ5歳の時。


あの時の俺は、多分…
俺の人生の中で1番純粋でキレイで、馬鹿だった。


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母『…ねぇ、あなた。そうしましょうよ』


父『んー、でもなぁ…』


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俺が4歳の時に、両親が離婚。
俺は母親に付いていった。



その1年後。

俺が5歳の時に、母親が1歳の子持ちの男と再婚。


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俺は弟が出来たと馬鹿みたいに浮かれてた。

両親が何を考えていたのかも知らずに…。


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母『智。ちょっとこっちに来なさい』




ある日の夜。

今からみんなで晩御飯を食べようとしていると
バルコニーにいる母さんに呼ばれる。


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俺は馬鹿みたいにルンルンで母さんの元に走った。



智『お母さん!何?』




そう言いながらバルコニーに入った。


その一瞬だった。


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俺がバルコニーに入った瞬間

母さんは部屋に戻ってバルコニーの鍵を閉めた。


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そう。

俺は閉じ込められたんだ。


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智『っ、お母さん?!開けてよっ!』




ドンドンとガラスを叩く。


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母『…あなた、今日からそこでご飯食べなさい』




俺を冷たい目で見下ろして
バルコニーのカーテンを閉めた。



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少し開いたカーテンの隙間から
母さんと再婚相手と再婚相手の子供が楽しそうに晩御飯を食べている光景が目に入る。




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部屋の明かりが、俺の心のヒカリを

全て吸い取っていく気がした。

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作者名:な り き | 作成日時:2017年8月7日 1時

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