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#58 ページ10

side涼太

そんな毎日を続けていると、どうしても体に痣が残ってくる。

そのせいで、学校で友達なんて出来なくて。みんな俺を気持ち悪いと言って近寄らなかった。

なんせ首にまで痣があるんだもん。

お母さんに首を締められた痣。

そりゃ、関わりたくないよね。

この痣のせいで俺が虐められてるなんて、お母さんは知らないよね。









母「あんた、これ受けなさい。それで合格して、お金稼いでちょうだい」


そんなある日、1枚のプリントを渡された。

涼「ボーカル、オーディション、?」

母「そう。あんたにどれだけお金かかってると思ってるの!?」

涼「っ、や、でも、」


こんな人前に立つなんて、俺には無理だ。

想像しただけで、足が震える。

俺は、人との関わり方なんて知らない。




母「ほんと、うるさいわね!」

バチンッ!

母「あんたは私の言うことだけ聞いてればいいの!」

そう言って、また俺を鎖に繋ぐ。


ボコッ!ドスッ…ドスッ…

涼「っ、ぁっ…」

もう俺に選択肢なんてなかった。




俺は母さんの "おもちゃ" なんだ。

何でも言うことを聞く、都合のいい "おもちゃ" なんだ。






本当は、こんな生活なんて今すぐ辞めたい。

だけど、俺に逃げ道なんてない。

親戚だって、母さんと絶縁した。

だから頼れる人なんていなかった。



夜になれば、また新しい男の人が来る。


『頑張れよ、涼太くん』

『受かって、ちゃんと金稼いでこいよ』

『もし落ちたら、わかってるよな?』


涼「っ、はぁっ、はぁ、はぁ、」


ついには夢にまで出てきて、魘されて起きる毎日。







そして俺が中学3年生になって、受験を目前にした時に、オーディションの1次審査があった。


母「絶対受かりなさいよ。もし落ちたら、あんたなんて知らないから」

涼「はい…」



受かりたくない。

受かった所で、俺は人前でなんて歌えない。

けど歌なんてろくに練習したこもとない。

そもそも受かるわけがない。




だけど落ちれば、殺されるかもしれない。



これからも "おもちゃ" として生きていくか、殺されるか。


選べと言われているようだった。




だけど弱い俺は、選べなかった。




だから今日も俺は、"おもちゃ" としてオーディション会場まで来たんだ。



長袖に長ズボン、ハイネックの肌着。もらったゼッケンを付けて。



だけど "おもちゃ" として来た俺は、会場のことなんて全く把握していなくて。


あぁ、また俺は場違いな所に来てしまったんだ。

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npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます! (2020年8月27日 22時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - これからも楽しみにしてます(*´∀`) (2020年8月27日 19時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 涼太が謝る"理由"(´;ω;`)気になります(´;ω;`) (2020年8月24日 21時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - りささん» いつもコメントありがとうございます! (2020年8月24日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 涼太君が無事に退院出来るといいな(*^-^*) (2020年8月24日 1時) (レス) id: 3d828ae167 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:npagxp | 作成日時:2020年4月1日 19時

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