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#69 ページ21

side龍友

夜ごはんを食べて、家に帰らないと言う涼太を無理やり追い返すわけにも行かず。

ふたりで僕の部屋で寝ることになった。


龍「泊まるってこと、連絡しとかんくてええんか?」


涼太は必要以上に自分から話さない。

ましてや家族のことなんて一切口にしなかった。だから聞いてはいけないのだろうと思っていたけれど、泊まるとなれば連絡くらいはと思って聞いてみた。


涼「だいじょーぶ」

僕のほうを見ることなく答えた涼太。


龍「僕の家の電話、使っていいんやで?」

涼「どうせ家の番号、わかんない…」

龍「そっか」


涼太はスマホを持っていない。だから電話を貸してやろうと思ったのに、番号知らないなら何も出来ない。









そうか、涼太は。

本当に何も知らない子。

改めて感じた瞬間だった。





涼「龍友くん。俺、バイトしたい」

唐突な涼太の言葉に驚いて思わず固まってしまう。


龍「い、いきなりどしたん…」

涼「ひとり暮らしするにはどれくらいお金いるかな?家賃、高くないとこ…」

あぁ、そうか。

涼太はひとり暮らししたいんだ。

というより、今の家を出たいんだ。




龍「なぁ、オーディションに合格は出来んかったけど…一緒に上京しようや」


いつかはしようと考えていた。
だけどなかなか踏み切れなかった。


お父さんがいなくなって、お母さんがひとりで僕と妹のために働いてくれて。


僕はバイトしても、全部自分のためにお金を使ってきた。


だからお母さんと向き合うことはなかった。


逃げてたんだ。







だけど涼太と出会って、僕は変わったと思う。

今なら言える、上京したいって。






涼「龍友くん、は、その…」

龍「僕のことは考えんくていい。涼太がどうしたいかやで」


涼太は最初からそうだった。

周りの人の顔色を伺って答えを選ぶ。

誰かに正しいと言われれば、迷うことなくそれを選ぶ。

涼太の感情や意思なんて完全に無視だった。




涼「龍友くんとなら…行く、東京。行きたい」

龍「おし、じゃあ決まり。僕も家族と話するから、涼太も…」



何気なくそう言ってしまって、涼太を見ると悲しそうに遠くを見つめていた。

龍「ごめんっ…」

涼太の表情に、暗い影が差す。

言ってはいけなかったのに。


涼「んーん。俺は大丈夫」



そう言って笑って見せた涼太。






次の日、僕が家族と話す間、涼太は出かけると言って外へ行った。


行き先は教えてくれなかった。

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npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます! (2020年8月27日 22時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - これからも楽しみにしてます(*´∀`) (2020年8月27日 19時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 涼太が謝る"理由"(´;ω;`)気になります(´;ω;`) (2020年8月24日 21時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - りささん» いつもコメントありがとうございます! (2020年8月24日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 涼太君が無事に退院出来るといいな(*^-^*) (2020年8月24日 1時) (レス) id: 3d828ae167 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:npagxp | 作成日時:2020年4月1日 19時

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