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side龍友
夜ごはんを食べて、家に帰らないと言う涼太を無理やり追い返すわけにも行かず。
ふたりで僕の部屋で寝ることになった。
龍「泊まるってこと、連絡しとかんくてええんか?」
涼太は必要以上に自分から話さない。
ましてや家族のことなんて一切口にしなかった。だから聞いてはいけないのだろうと思っていたけれど、泊まるとなれば連絡くらいはと思って聞いてみた。
涼「だいじょーぶ」
僕のほうを見ることなく答えた涼太。
龍「僕の家の電話、使っていいんやで?」
涼「どうせ家の番号、わかんない…」
龍「そっか」
涼太はスマホを持っていない。だから電話を貸してやろうと思ったのに、番号知らないなら何も出来ない。
そうか、涼太は。
本当に何も知らない子。
改めて感じた瞬間だった。
涼「龍友くん。俺、バイトしたい」
唐突な涼太の言葉に驚いて思わず固まってしまう。
龍「い、いきなりどしたん…」
涼「ひとり暮らしするにはどれくらいお金いるかな?家賃、高くないとこ…」
あぁ、そうか。
涼太はひとり暮らししたいんだ。
というより、今の家を出たいんだ。
龍「なぁ、オーディションに合格は出来んかったけど…一緒に上京しようや」
いつかはしようと考えていた。
だけどなかなか踏み切れなかった。
お父さんがいなくなって、お母さんがひとりで僕と妹のために働いてくれて。
僕はバイトしても、全部自分のためにお金を使ってきた。
だからお母さんと向き合うことはなかった。
逃げてたんだ。
だけど涼太と出会って、僕は変わったと思う。
今なら言える、上京したいって。
涼「龍友くん、は、その…」
龍「僕のことは考えんくていい。涼太がどうしたいかやで」
涼太は最初からそうだった。
周りの人の顔色を伺って答えを選ぶ。
誰かに正しいと言われれば、迷うことなくそれを選ぶ。
涼太の感情や意思なんて完全に無視だった。
涼「龍友くんとなら…行く、東京。行きたい」
龍「おし、じゃあ決まり。僕も家族と話するから、涼太も…」
何気なくそう言ってしまって、涼太を見ると悲しそうに遠くを見つめていた。
龍「ごめんっ…」
涼太の表情に、暗い影が差す。
言ってはいけなかったのに。
涼「んーん。俺は大丈夫」
そう言って笑って見せた涼太。
次の日、僕が家族と話す間、涼太は出かけると言って外へ行った。
行き先は教えてくれなかった。
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npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます! (2020年8月27日 22時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - これからも楽しみにしてます(*´∀`) (2020年8月27日 19時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 涼太が謝る"理由"(´;ω;`)気になります(´;ω;`) (2020年8月24日 21時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - りささん» いつもコメントありがとうございます! (2020年8月24日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 涼太君が無事に退院出来るといいな(*^-^*) (2020年8月24日 1時) (レス) id: 3d828ae167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:npagxp | 作成日時:2020年4月1日 19時