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#29 ページ29

side涼太

"お前のせいだ"
"お前さえいなければ"

"消えろよ"


涼「はぁはぁはぁはぁ、っく、」

龍「涼太!?大丈夫やで。ほら、こっち見てみ?」


ぺたっ、と、ほっぺたに誰かの手のひら。


涼「りゅーと、くん、」

龍「ん、そやで」


なんで生きているのだろう。

夢の中でのあの言葉。

俺が現実の世界で言われた言葉。



涼「りゅーとくん、はっ、」

"俺のこと、好き?"

なんて続きが言えなかった。

龍「ん?」

不思議そうに俺を見つめて首を傾げる龍友くん。




涼「んーん!なんでもないよ」

龍「そっか」


龍友くんはそれ以上、何も言わなかった。




涼「あの、さ…りゅーとくん、?」


もう一度声をかけると、龍友くんからの返事はなかった。

涼「疲れてる、よね…」


眠った龍友くんの顔は、どこか疲れていて。
仕事して、俺の所に来て。


じゃあ龍友くんは、いつ休んでいる?
俺が、龍友くんの休みを奪っている?



だめじゃん、俺。

迷惑ばかりかけて。

何の役にも立てず。




もし、あのスタッフさん達の言う通りになれば。

もし、本当に俺がこの世界から消えたならば。


みんなは、自由?






酸素マスクがない今、

酸素マスクを取る、という事は出来ない。




だから。



静かにベッドから降りて、靴を履く。


だけど龍友くんが視界に入ると、まだここにいたい、そう思ってしまって。



"ありがとう。ごめんね。
大好きだよ。 涼太"


近くにあった紙切れに殴り書きする。



涙が零れる。

ぽたり、と紙切れに一粒落ちて消える。



涼「ありがとうございました」


小さく呟いて、頭を下げた。









涼「さむっ、」


冷たい風が、薄着の俺の身体を冷やす。

この世の中、舐めてるんじゃないぞ。

そう言われているような感覚だった。



涼「っ、くしゅんっ」

寒い。
今は何時なんだろう。


スマホは、病室に置いてきた。

近くにあった公園に、ふらっと立ち寄った。



真っ暗な公園には、人影などなくて。


自動販売機の灯りが少しだけ漏れているベンチに腰掛けた。



涼「お金も、置いてきちゃったなぁ、」


ここに来て、財布すらも置いてきたことを思い出す。


俺は何をするでもなく、空を見上げた。

都会であるこの街では、星すら見えなかった。




まるで、暗闇に飲み込まれたかのように。

まるで、全てを失った俺のように。

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npagxp(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます! (2020年4月1日 21時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 続編も楽しみにしてます(*´∀`) (2020年4月1日 17時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - 叶夢さん» お仕事お疲れさまです!そう言って頂けるととても嬉しいです!できるだけたくさん更新できるよう頑張ります! (2020年3月9日 16時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - 今、仕事がすごく忙しくて(;_;)このお話読むのが1つの息抜きです(;_;)更新ありがとうございます!! (2020年3月9日 11時) (レス) id: 08075bc0b9 (このIDを非表示/違反報告)
npagxp(プロフ) - 叶夢さん» コメントありがとうございます!今まであまり末っ子を出せなくてすみませんでした…これからはもう少しバランスよくだせるように頑張ります! (2020年2月2日 20時) (レス) id: 3150c02125 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:npagxp | 作成日時:2020年1月19日 10時

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