幼馴染の君に恋をした３ (ページ7)

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だんだんと本番に近づいてきて、クラスにも少し焦りが見え始めたころ。

今日は衣装も着て、全通しをする。

最初、台本を見たときは絶対に覚えられないと思っていたセリフも

今ではスルスルと自分の言葉のように言えるようになった。

問題点としては…衣装だ。

さっき衣装係の子に満面の笑みで渡された衣装を俺は見る。

紫「…まじかよ。」

それは、王子様を思い浮かべたとき１００人中９９人が想像する服そのものだった。

紫『こんな服を着ることになるとは…。』

けれど文句を言っていても仕方ない。

俺は着替えるために隣の空き教室に入る。

そこには、俺と同じように苦悶の表情を浮かべた廉がいた。

紫「あ、廉。…衣装、びっくりだよな。」

廉「うん。まじでお姫様が着るようなドレスなんやもん。」

廉は困ったように笑う。

紫「まぁ、着るしかないよな。」

俺は廉とは反対方向を向いて、衣装に腕を通す。

鏡が無いので、自分が今どんな格好をしているのかわからないが

出来ることなら、みんながいる体育館に行きたくないと俺は思う。

紫「廉、大丈夫？俺着替え終わったけど。」

廉「…あの、しょ紫耀。」

紫「ん？」

廉「ちょっと、助けてくれんか？」

廉の言葉を聞いて俺は振り返る。

紫「何すればいいn…っ！！！」

廉の姿を見て俺は息をのむ。

目の前にいるのは紛れもない美女だった。

メイクはしないで、毛先にカールがかかったロングのかつらをかぶっているだけなのに

誰もこれが男の人だとは思わないだろう。

そのくらい、廉は美しかった。