14.過呼吸(8/10更新) ページ15
和也 side
俺はドアの先で待っていた2人に
「Aちゃん、白衣を脱いだ状態なら大丈夫みたいなので、そうして貰えます?」
と言い、2人が白衣を脱いだことを確認すると、俺はもう一度この扉を開けた。
「Aちゃん、お待たせしました。2人とも、自己紹介をお願いします。」
俺がそう言うと、我先にと相葉さんが名乗りを上げた。
「はいはいっ!俺小児科医の相葉雅紀!まぁくんって呼んでね!」
いやいや、いきなりまぁくんは無いだろ…。ちらっとAちゃんの方を見てもかなり戸惑っている様子だった。仕方がない。後で説教だな。
今度は大野さんが話しかけた。
「おいら、大野智っていうの。精神科医っていうお医者さんなんだぁ。よろしくね?」
相葉さんとは正反対のふにゃふにゃした大野さんに、Aちゃんは頭が追いついていない様子で2人を代わる代わる見ていた。
まずは心の距離を縮めるつもりなのだろう。大野さんは
「Aちゃんは今何歳なの?」
と当たり障りのない質問をした。Aちゃんはまだ緊張しているのだろうが、勇気を振り絞ったのだろう。
「…中学1年生です。」
と小さな声で答えた。それに対して大野さんは
「へぇ、中学1年生かぁ。若くて羨ましいなぁ。おいらもその頃に戻りたい。」
なんて割と真面目な声で言うものだから、俺は苦笑した。
ふとAちゃんの方を見ると、大分緊張が解れてきたのか顔に少し笑みを浮かべていた。
言うなら今だ。大野さんもそう思ったのだろう。本題を切り出した。
「今ねAちゃんは心も体もとっても疲れちゃってる状態なの。だからね、しばらくこの病院でゆっくり休んでほしいなぁって思ってるんだぁ。どうかなぁ?」
Aちゃんは大野さんの遠回しな言い方にすぐ理解できなかった様子で考えていたが、しばらくして
「…それって…まさか…入院ってこと…ですか…?」
と聞いてきた。大野さんは
「うん、そういうことかなぁ。」
と答えた。するとそれを聞いたAちゃんの様子が突然おかしくなった。
「やだっ!ヒューヒュー、病院怖いっハァッ、怒られるっヒューヒュー、」
「Aちゃん!?」
危惧していたことが起きた。
過呼吸だ。
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ショコラ(プロフ) - おもち。さん» ご指摘ありがとうございます!呼吸器内科が正しいです(>_<)訂正しておきました。申し訳ないです。 (2020年8月19日 5時) (レス) id: 9293f0f13d (このIDを非表示/違反報告)
おもち。(プロフ) - 初めて拝見しました!面白いです!一点気になったのですが、設定では二宮先生は呼吸器内科と書いてありますが、必死の救命での物語上では循内になっています。細かいこと申し訳ありません。 (2020年8月18日 23時) (レス) id: 2888f7ab62 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - ナマケモノさん» 了解です(^^ゞ詳しくありがとうございます!もう少し後の方で書かせて貰いたいので順番が前後するかもしれませんがご了承くださいm(_ _"m) (2020年8月17日 17時) (レス) id: 7a94125d06 (このIDを非表示/違反報告)
ナマケモノ - 過程ですが、主人公ちゃんの携帯に、お母さんから電話がかかってきて「戻って来なさい」と言われて、「迷惑だから」という気持ちと「家に帰らなきゃ」という気持ちが混ざって出ていってしまうって感じでお願いします! (2020年8月17日 16時) (レス) id: c08bcbfb9a (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - むしろ細かく書いてくださるとこちらも書きやすいので要望が多いのは大歓迎ですよ!重いとかはそこまで気にしないタイプなのでご心配なさらず(*^^*)過程も特に希望がなければ無いで大丈夫です。 (2020年8月16日 18時) (レス) id: 7a94125d06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ショコラ | 作成日時:2020年8月7日 18時