八千代の由来は梱包箱by能見 ページ49
待ち合わせしとったのに、Aがこーへん。
仕事が長引いたんかと思ったけど、他のヤツらはとうに帰ってて、部屋には誰もおらんかった。
そん時、トリのトレーニングを思い出した。
甲子園のゲームん時には必ずやるって聞いとったから、練習場に行ってみたらあんな光景や。
トレーニング中に馬乗りとか、ありえへんやろ。
しかも大阪弁が聞きたいって何やねん。
剛に喋らしといたらええやろ。
あんなコトされてんのに、Aも全然気付いてへんし…。
ホンマ、心配やわ。
能「トリばっかりやなくて、俺のもちゃんと覚えといてや」
「すみません…」
まんまと、トリにやられたわ。
甲子園やったらほぼ一緒やし、Aのイメージを強くしてる。
お陰で俺の影が薄なってるし…。
ホンマ、厄介な男やわ。
能「いったん、部屋に寄ろか？」
「はい、お願いします！」
◆◇◆
「今日はちょっと時間かかりますから、ゆっくりしててくださいね」
テーブルにお茶を置くと、Aは部屋中をバタバタ動く。
それを見学しながら、部屋の空気を味わう。
遠征ばっかやったし、トリの邪魔で来られへんかったけど、全然変わってへんわ。
「能見さん、そのクッション好きですね」
能「うん。柔らかいから」
寝室から出てきたAが笑った。
俺には、お気に入りのクッションがある。
今もそうやけど、気付いたら持ってんねんなぁ。
抱き心地は、もちろんAが最高やけど、クッションの中やったらコイツが一番。
「能見さんも持ってるのに、扱い方がずいぶん違いますね」
能「こっちの方がいい」
これはホンマに偶然なんやけど、俺も同じヤツを持ってる。
年数はAよりも長いから、しっくりくるはずやねんけど、そんなことはない。
こっちの方が、めっちゃ気持ちい。
能「俺のと交換せぇへん？」
「何言ってるんですか？ちゃんと愛情を注がないからですよ。クッションがいじけてるんです」
Aは、しょっちゅうモノを擬人化する。
ぬいぐるみに名前をつけて可愛がるのは分かんねんけど…。
「うちの《八千代》さんは、実家から来た子ですけど、もう15年は働いてますよ」
さすがに、電子レンジに《八千代》はないやろ。
「モノには付喪神が宿るんですから、大事にしてあげないと嫌われちゃいますよ？」
能「…で、準備できたん？」
Aは、陰から赤いリュックを出してきた。
「はい。お待たせしました」
能「いいえ」
ちなみに、準備時間はたかが10分。
相変わらず、早すぎるわ。
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Quintet(プロフ) - ゆかさん» コメント、ありがとうございます。あちゃー、私のルーティンがバレてしまいましたね(笑)。あともう半日、あと数時間を過ごす一息になればと思っています。これからも、よろしくお願いします。 (2016年10月14日 16時) (
レス) id: 7f540aaaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 毎日更新されるのが楽しみです！ 毎日4時過ぎにこのお話更新されているか見てしまいます。笑 これからの楽しみにしています！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: c3eab76729 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Quintet | 作成日時：2016年10月4日 15時
