その刀剣、───につき。 (ページ36)

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後書ページ36

その刀剣、人の子につき。
無事完結です。

……なんて、かしこまらなくてもいいよね。1作、2作と読んでくれた審神者(アンタ)達なら此処で語るのが誰か解るでしょ？

そうだね。先ずは種明かしをしよう。

今回の主人公は兼定派の脇差、『春畝兼定』。
彼は───そう、オレは。人間だったんだよ。

前作、『桑山保昌』が護れなかった「我が君」と、彼女の初期刀「歌仙兼定」の間に生まれた「半分だけかみさま」の紛い物。

親父……歌仙兼定の計らいで現世に戻されたオレは13年間人間として生きてきた。勿論、刀剣男士や本丸の事なんて一切教えられないまま。

現世では中学生にあたる歳だから、両親とも居なくなった上に人間らしからぬ瞳の色の所為で虐められて独りぼっちになっているって設定があったらしいね。結局書ききれなかったみたいだけど。

本丸に見覚えがあったのは、襲撃があったときに母さんと一緒に親父の神域に匿われたから。生まれて間もないオレでも、親父の記憶を通じて惨劇を知る事が出来た。

オレの一人称視点で進む話は普段漢字で書かれている言葉が平仮名だったり、カタカナとか、現代で使われてるような言葉が多く登場したの気付いた？
題名に英語が度々登場したのはオレが人間であることと、『春畝兼定』の元主に由来するよ。

詳しい設定なんかは創作刀剣男士設定集を見てね。

───あぁ、そういえば。『桑山保昌』の方では何一つ救われずに終わったのに、なんで『春畝兼定』が存在しているのかって思った人、いるんじゃない？

実はね、此処は存在しない世界なんだよ。
正しくは「存在したかもしれない世界」かな？
IFってやつだよ。分岐点はもう解るよね？

「もしも元(・)検非違使と歴史修正者が背中を預けあい、共闘していたら」

決して叶う事のない、くだらない「もしも」の話。

最後に。

オレを見つけてくれてありがとう。
最期まで見届けてくれてありがとう。
春畝兼定という刀が、陽という人間が確かに存在していたこと。
どうか、忘れないでください。