【声優・短編集】2

アクジョ？【梅原裕一郎】リク ページ20

梅原side



同い年で先輩の鮫川さん

鮫川さんは多分悪女だと思う



梅原｢…｣

ゲラゲラと笑いながら誰かに話す彼女は

俺と目が合った

｢…あ｣

梅原｢…どうも｣

一緒に居た女性スタッフは逃げるように居なくなり

鮫川さんは髪をクルクルと指で遊ぶ



梅原｢鮫川さんて、悪女なんすか｣

聞いてみた、まあ答えないだろうけど

｢そうだったら？梅原さんは誰かにチクる？｣




｢それすら、興味無いくせに…なに？｣

梅原｢…興味はある｣

と、彼女に近づいてそう言ったら

｢…うぜーんだよ、お前みたいなやつ｣

梅原｢…そう？｣



さっきの電話からして似たような人だろう

男を落として、貢がれて

その貢物が気に食わなくて売った事を

鮫川さんはゲラゲラと笑ってた



梅原｢俺と遊んでみる？｣

｢…は？｣

梅原｢気になるんだよ、悪女ってどんなやつか｣

だって、噂では聞いたことが無い



鮫川Aはいい子で、それでいて

人を思いやれる優しい人、だということを

梅原｢俺は、この顔だからさ｣

梅原｢気分上がるだろ？｣

｢…お前みたいなやつの顔の方が、面倒｣



フイ、とされた


________



主人公side



悪女には理由がある

誰かに愛されたい願望が強いから

承認欲求が強い女を潰す快感を知ってしまったから

だから、その女スタッフに近づいて

そいつから全て奪おうとしてた

そこを、梅原さんに見られた



違う方向に行こうとする

｢(…ただ、人から必要とされたいだけ)｣

思いやりがあれば、見てくれると思った

なのに、都合よく扱われるじゃないか

ちょっと優しくない、不器用な女や男が愛される



自分のやり方は、結果的に無意味だと気づく

だから、悪女である人に近づいて

私の為にと聞いてるだけだ



梅原｢…｣

私の横で寝てる梅原さん

彼も私のようではない、不器用な男である

彼との行為ははじめてだった

というか、行為自体が



ズキ、とする

シーツの赤い染みに梅原さんは戸惑ってた

私は悪女のはずなのに

化けの皮を剥がされてしまった

悪女未満、ほんと何やってんだろ…



ぼんやりとしてたら服をかけられた

梅原｢痛い？ごめん｣

ちゅ、と首にキスされる

梅原｢ねえ、なんでこんなことしてんの｣

梅原｢悪女辞めてさ、俺の彼女になってよ｣

責任取るから、なんて言う



｢私はみんなに愛されたいの｣

あんたじゃ足りないと言ってやった

私は好きな人にも悪女、だって

彼に見られたくてした事だったから

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