36ページ:変化 ページ36
「最近、なんか変わった?」
「…そう?」
「うん!前より優しいというか…話しやすいというか?」
つまり前までの私は怖かったというわけか。まあ別に凹みはしないが。
私は器用に積み木を積み立てながら、一緒に遊んでいる隣の女の子と話す。
「何か良いことでもあったの?」
ついに自分の背では積めなくなった高さまで積んだ積み木を見上げ、一度誰にも当たらぬように崩してから私は女の子と目を合わせて、解答を少しだけ考えた。
「…色々」
「色々?」
「うん」
そっかぁ、と返して積んだ積み木がバランスを保てられなくて崩れたのを、女の子は残念そうに辺りに散らばった積み木を見た。私はそれらを拾い上げ、片付けるようにまとめた。
「そういえばまだ、零ちゃんのお父さんは来ないの?いつもだったらもう来てるのに…」
お父さん、というところに少し引っかかったが、そろそろ慣れよう、と自分に言い聞かせる。これからだって言われるだろうし。
「…忙しいのかも」
「そうなんだ。じゃあ、それまで一緒にあそぼ!」
私は頷き、もう少しだけ付き合うことにした。
…歩美ちゃんは次は駒で遊ぶようだ。箱から取り出すと、回す為に紐を駒に付け始めた。
「零ちゃーん!」
遠くから、私を呼ぶ声が聞こえた。保護者の声では無いので内心首を傾げながらそちらを見たが、納得して私は帰る支度を始めた。
「もう帰っちゃうの?お父さん来てないよ?」
「…代わりに叔母さんが来たから」
「叔母さん?」
ほら、あそこにいるよと視線を向けると、にこやかに微笑を浮かべる叔母さんがいた。…今日は保護者ではなく、叔母さんが私を引き取るらしい。多分保護者は仕事で忙しいから、まだ帰れないのだろう。
私は少ない荷物を鞄の中に入れて、叔母さんの方へと向かった。
「久しぶりね。元気にしてた?」
私は一つ頷いた。叔母さんとは一ヶ月以上会っていなかったので、とっても久しぶりに感じる。
危険度を表す数値も相変わらず一般人離れしていた。
「毎日楽しい?」
「…」
私は少し考えた後、小さく頷くことにした。私の答えに満足したのか、そう、と返した。
「…帰る前に、買いたいものがあるの。少しだけ寄るわね」
そう言うと叔母さんは人気の無い近くの止められそうな所に車を止め、私を置いて外に出た。
「少しだけ、待っててね」
叔母さんはそう言うと、行ってしまった。
辺りに全く音が無い場所で私は一人になり、暇になったので窓の外の空でも眺めることにした。
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卵かけご飯の醤油 - みつるさん» ああ、確かに盛者必衰の方が多分内容的に合ってますね。私、てっきり諸行無常も盛者必衰も同じような意味かと思ってて…今ウィキ先生で調べてみました。どうやら意味合いが違うようです…わざわざご報告、ありがとうございます。修正しますね。 (2019年5月29日 19時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
みつる - 49ページなんですけど…諸行無常ってなんとも言えないという意味だと思います。多分盛者必衰の間違いかと…間違ってなかったらすみません(>_<) (2019年5月29日 18時) (レス) id: d6e134e20f (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - すすぎさん» そうなんですか…もしよろしければその私の小説と似ているという小説の題名を教えてくれませんか?出来ればその小説と話が被らないようにプロットを書き直すつもりなので… (2019年5月26日 12時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
すすぎ - あまりにも似てるものがあったので..... (2019年5月26日 11時) (レス) id: 28118ed8c0 (このIDを非表示/違反報告)
卵かけご飯の醤油 - ありがとうございます。まさか読みやすいというコメントを貰うとは思っていませんでした…嬉しいです。これからも更新頑張ります。 (2019年5月25日 14時) (レス) id: ecf6ee3b9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卵かけご飯の醤油 | 作成日時:2019年5月17日 15時