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『それ！まさにそれだよヒーロー！上層部は、君らと長く時間を共にする事で呪術師がその思考に感化される事を危惧してるんだ』
『さっきみたいな回答する奴らいたら、頭の凝り固まった狸爺共にとっては邪魔であり脅威でしかない。下手したら甘い蜜を吸うだけの立場が危うくなるからね。しかも大勢いたら消すのも面倒』
『だったら端から触れさせなければいい。そうすれば処分の手間も省けるし、失墜の心配もない。自分の身が大事で可愛くて仕方がない上の考えそうな事だよ』
＿＿＿＿＿どう？失望した？
怨嗟も憤怒も感じられない、抑揚すらもない無機質な声色で、答えを淡々と述べられる。
なんてことのない日常を話すようなAの口調に、オールマイトは息を呑んだ。
まともじゃない。正気の沙汰ではないと分かっていても、手を差し伸べる事もできない。
納得のいかないまま傍観者であり続けるしかない現実に、無力さと不甲斐なさで目が眩む。
自分とは無関係だから、と流してしまえば楽なのに。それもしない、できない。なんとも健気で憐れなヒーローの性分だろう。
「君は……君たちは、変えようとは思わないのかい…？」
『思うよ。こんなの違うって、誰だって思うに決まってる。けどね、君たちが考えてる程単純じゃないんだ。絡みに絡まった固結びの糸を慎重に解いて、それから上手く結び直さなきゃいけない。今の私にできるのは、上の嫌がらせなんて笑って跳ね除ける位に強くなって、五条先生の隣に並ぶ事』
期待、重圧。此方の計り知れない枷を背負ってもなお平然としている、自他ともに認める最強。そんな彼に手を引かれて、腐りゆく世界の変革に誘われたあの日を境に。
寂寞の滲んだ背中を押すために、
そうすれば、ずっと自分だけを見ていてくれると思った。少しでも情を湧かせれば、それだけで離れ難くなるだろうから。
Aは、年頃の娘とは思えない剣だこだらけの片手を見下ろし、ｷﾞｭｯと握り締めた。
(……先生は私と術式、何方を見てるのかな＿＿＿＿いや、止めよう。この居場所は心地いいし、何より面白い観察対象も研究試料も潤沢。今すぐ手放すには惜しい)
失望するのも、諦観するのにも相応の体力が要る。
深層心理にある欲求が詰まった箱を、冷え切ったAの手がそっと閉じた。
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コロッケ - 本当に好き！主人公の性格とかも面白いしヒーローと呪術師の価値観の違いも上手く書かれてて最高です！是非更新宜しくお願いします！ (11月17日 2時) (
レス) @page17 id: 0002858abd (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 更新されててびっくりしました！これからも更新がんばってください！応援してます (10月19日 20時) (レス) @page16 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
マリモ - 占ツクにこんな文章のしっかりしてる最高の作品があったとは。もう何回読み返したかわからない。更新お待ちしてます大好きです (8月30日 18時) (レス) id: b3cc1c8641 (このIDを非表示/違反報告)
わらび - 投稿ありがとうございます！オリ主ちゃんや、ストーリーが好みすぎて何度も繰り返し読んでます！これからも応援してます！ (8月21日 21時) (レス) @page15 id: 852819b8c2 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのゴリラ - ほんまに好きです最新まってます (8月15日 23時) (レス) @page14 id: fa8371b6ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル | 作成日時：2022年8月29日 22時
