君と 3

魔法使いなの？ ページ1

西島君の優しい眼差し。
照明のせいかな。
瞳が揺らいで、すごく綺麗。



きらきら、ゆらゆら。
宝石みたい。



彼の瞳を見つめながら、そんなことを思っていた。



『みお？』



「西島君て、魔法使いなの？」



やっと出た私の子どもみたいな言葉。
半分冗談で、半分本気で思ってること。



『そうだったらいいな』



彼はふっと笑ってそう言うと、私に彼のキャップをかぶせた。



そして私の頭に手を乗せて



『かわいい、みお。似合ってる』



なんか…



西島君の瞳が、今までに無く甘くて。
発せられる言葉が熱を帯びていて、ますます胸が疼く。



ドキドキして、彼を直視出来ない。



『みお』



身震いする程に甘美なささやきに、さらに胸が疼いて苦しい。



私の頭の上にあった西島君の右手は、ゆっくりと降りてきて、遠慮がちに私の頬に触れた。



熱い…
西島君が触れているところが。



西島君の手なのか、それとも私の頬が熱いの？



もう、心臓が破裂しそう。
私おかしい。
今までは西島君に触られても、こんなにドキドキしなかった。



急に意識しちゃって、ドキドキがおさまらない。
恥ずかしすぎて、西島君と目を合わせられない。



どうしよう。



『みお、こっち見て』



無理だよ。
その手を、ほっぺを触ってるその手を離してくれないと…


なのに、西島君は親指でゆっくりと私の頬を撫でてる…



もう、限界。



『みお…ごめんね』



急に西島君の声色が変わったから、私は咄嗟に顔を上げた。



苦しそうな瞳で、眉を下げて私を見つめる彼。
そんな彼に、私の胸がきゅうっと鳴って、痛い。



『たくさん傷つけて、ごめん』



「私も…ごめんなさい。ひどい事言って」



『みおは悪くないよ。ごめん、ほんとに。泣かせたくなかったのに、泣かせた。ずっと会いたくて、話がしたかった』



苦しそうに、絞り出すようにそう言う西島君。
3日も彼からのメッセージを無視し続けたことを悔やんだ。



向き合うのがこわくて、つまらない意地を張ってしまった。



「何度もメッセージをくれたのに、返事しなくてごめんなさい」



『もういいよ。こうして会えたから』



彼がほんの少し微笑んだ。
それを見て、私も気持ちが和む。



西島君には笑っていてほしい。

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