君と (ページ4)

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楽しかったページ4

「西島君、楽しかった！すっごく気持ち良かっ…」

えっ!?
何っ。

夏色を歌い終えて西島君とハイタッチをした瞬間、彼に抱きしめられた。

『楽しかったぁ！俺この曲が大好きなんだ。橘さんがすっげえ楽しそうに歌ってたから、俺も一緒に歌いたくなった。久々に歌った！』

「ちょっと、西島君っ」

腕っ
腕の力ぬいてっ！

『うわっ、ごめん！橘さん！』

ばっと離された私。
かなり慌てている西島君。

『みおちゃん、許してね。西島って熱いっていうか、興奮すると、こういうところあるんだよ』

佑一郎君は苦笑い。

『ニッシー…いやチャラ島、セクハラだから』

『おい香織、それは違う。俺なりに感謝の気持ちを表現したの』

「私は大丈夫だよ、気にしてないから」

『だよなー、わかってくれると思った。橘さんなら』

私の肩に腕をまわし、ドヤ顔を香織にみせる西島君。

『だから、それがセクハラだって。みお、ニッシーを甘やかしちゃダメ。すぐに調子に乗るから』

香織が私と西島君の間に割って入ろうとすると、彼はがっちりと私の肩を寄せ

『ダメー！』

と言ってそれを阻止した。

なんだそれ…子どもか。

「はいはい、わかったから座ろ。喉乾いた」

『はいはい、だって』

西島君は笑いながら、私の隣に座った。

『夏色、本当に良い歌だよね。歌うと元気になる。橘さんて歌、やってたことあるの？声がすごく通るしキレイだよね。あ、ごめんね、俺テンション上がると、おしゃべりが止まらなくてさ』

ほんと、よくしゃべるんだね。

「大学4年まで合唱をやってたの」

『そっかそっか、だからか』

西島君は数回頷き、シャンディガフを口に含んだ。

「西島君てプロなんだね。思わず聞き惚れちゃった」

『あははははっ！ありがとう。俺の歌聞くの初めてだったの？それ褒められてるのか、けなされてるのかわかんねえけど、褒め言葉として受け取るね』

ニヤッと口角をあげる西島君。

「そう。褒め言葉だよ！」

やってしまった…

プロの歌手に何言ってるの私。