7色の後ろ側 9《赤》

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side 重岡

こんなん良くないのはわかっとるんやけど。
気づいたら収録が終わっとって。


美「すぐに事務所に向かいます」


そう言うた美和さんの声のトーンに皆何も話さんと黙々と着替えを済ませる。
俺は1番に終わらせて、もう一度Aに電話をかけた。


『はい。収録終わった？』

重「おま、何で連絡寄越さへんねん！」


やっと聞けたAの声に安心と同時に苛立ってまう。
ほんま、余裕ない。


『収録あったでしょ』

重「やからって...！」

望「しげスピーカー！」


小瀧がすぐ気付いてそう言うて、許可もとらんとスピーカーにする。


望「A！？大丈夫なん？どっか怪我してんの？」

『え？望？お疲れ様』

望「そんなん言うてる場合ちゃうやろ！」

『元気だから、大丈夫だよ。
ごめんね仕事終わった所で悪いんだけど、事務所来てもらわなきゃで』

望「そんなん呼ばれんでも行くわ！」

桐「A、大丈夫か？何かいるもんある？」

『あー、照史くん、サラダごめん』

桐「アホかそんなん気にすんな！弁当2つ食ったったわ！」

『...ふ(笑)これ、今スピーカー？』

桐「そやで、通話に戻そか？」

『うん』


俺全然話せてないんやけど。
やけど照史が俺の方見てくるから頷いたら、スピーカーから通話に戻したらしく耳に当てて少し話した後、スマホ渡してきた。


重「なぁ、ほんまに大丈夫なんやな？」

『うん、大丈夫』

重「今日お前の所行ってええ？」

『それがね、しばらく事務所が用意してたホテルで生活するんだって。
いろいろ不自由あるだろうからって』

重「は？何なんそ『ね、大毅聞いて』...何？」


不自由って何？って聞きたかったけど、被せるように言うてきて。



『大毅、自分の事責めないって約束して』



そう言われて、気づかんふりしとった事が現実に起きたってわかった。


『だい「俺のファンの仕業なん」


普段収録終わったらすぐ返されるスマホと財布は未だ美和さんが持ったままで。

控室のテレビ、いつもすぐに誰かがつけんのに。
着替えるのに必死で気づかんかった。


重「なぁ、テレビつけて」

桐「しげそんなんええから早ここ出て事務し「ええからつけろって！」

中「...ええわ、濱ちゃんつけて」


淳太がそう言うたら濱ちゃんがこそっと隅からリモコンを出した。
何、そこまですんの？



“ジャニーズWEST重岡大毅さんのファンだったという犯人は以前の週刊誌記事をきっかけに犯行を決意”



メンバーが何か言うてる。
やけど何も耳に入って来ぉへん。



俺のせいで、Aは襲われた。

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