7色の後ろ側 9《赤》

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もうちょっとで皆と仕事を始めて1年。
たまたま望を迎えに行ったのがきっかけで。

ずっと平凡な毎日で、ちょっとくらい珍しい経験してもいいかな、なんて思ったんだよね。

正直軽い気持ちで始めたこの仕事でここまで素敵な経験をさせてもらえるなんて。


アイドルはファンに夢を与える仕事やで？なんてドヤ顔で言ってた皆を思い出す。
だけどそれはファンだけじゃなくて、私達も同じで。
素敵な夢をずっと見させてもらってる。






K「あ」

「...わ、お疲れ様です。あれ、何で？」

K「お疲れ様です！
今日収録があって。
あの時点で決まっていた仕事はやり切ると事務所とお話しさせてもらっていたので」

「あぁ、そうなんですね」


テレビ局の正面玄関辺り。
両手に皆から頼まれた品物をさげた私に先に気づいたのはKIKIさんだった。


K「WEST さんもですか？」

「はい。うちはこれからですけど。
KIKI さんはもうあがりですか？
マネージャーさんは？」

K「そうなんです。
今マネージャーに忘れ物とりに行ってもらってて」

「あー、そうなんですね」


KA「「...」」


「...そういえば、ちゃんとお伝えできてなくて。
赤ちゃんおめでとうございます」

K「ありがとう、ございます」


少しの沈黙の後、何で会話を続けたのか。
自分でも正直わからない。

皆に頼まれた物届けなきゃいけないのに。
なんとなくKIKI さんを1人にしておきたくなくて。



「落ち着いたらまた重岡ともご飯行ってあげて下さいね」


世間話をする私達の横を何人かの人が通り過ぎて。


K「マネージャーさんがそんなこと言っていいんですか？(笑)」


その内の1人の女の人が何だか印象に残った。


「重岡にとって杉崎さんもそれにKIKIさんも大切なご友人だと思うので」


鞄にWEST のライブグッズがついてる。


「...あ、の、中で待ってません？」


ライブグッズのブレスレットもちらっと見えた気が、する。


K「え？」


誰のファン、なんだろう。

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