7色の後ろ側 6《赤》

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「ちょっと、どい、て！」

重「Aの腹枕気持ちええのぉ」


しげの頭をぐいっと押すけど自分も倒れてるもんだからうまく力が入らない。
しげはそれが楽しいのか全く動こうとしないし。


「本当に、どいてっ...！」


両手でぐいっとしげの頭を押したらやっとどいた。
くそ、一気に疲れた...

しげは隣に寝転がってニヤニヤしてて。
...嫌な予感しかしない。

私が怪訝な顔してるのにきっと気づいたんだろう、余計ニヤニヤしながらゆっくり近づいてくる。
それに合わせるように私は後ずさる。

たいして広くもないベットの上じりじりと着実に距離をつめてくる。


「...なに」

重「ええから、ええから」

「...」

重「ちょっとだけ、な？」

「おい...」

重「さきっちょ、さきっちょだけやから」

「ちょ...(笑)」

重「すーぐ終わるから、な？(笑)」

「気持ち悪い！！(笑)」

重「痛ぇww」


チャラ男の定番セリフをワザと並べるしげの顔よ。
本当にアイドルとは思えない。
とりあえず白目やめろ(笑)

しげのおでこにバチンと勢いよく手を当てて距離をとる。


「仕事でそういう顔すんの本当やめてよ」

重「こんなんしても愛くるしいやろ？(笑)」

「ただただ気持ち悪いわっ(笑)」

重「なんでや！よぉ見てみ！？」


私の腕を掴んでおでこから引き離すと、ぐっと顔を寄せてきた。
うわ、こんなん絶対どきどきするやつなのに。
こいつが白目向いてなきゃ...(笑)


重「顔こっわ(笑)」

「今日はちょっと落ち着いてると思ったのに、しげはしげだったわ...」

重「何ため息ついてんねん！」

「うるさー」

重「ほんならほれ、だいきゃんスマイル見せたらぁ」


至近距離のままにぃーって歯を見せてお得意の笑顔を見せてくる。


「...うっざ」

重「アホか、何照れてんねん(笑)」


しげが私の腕を掴んでいた手を離して、がしがし乱暴に前髪を撫で付けてきた。


重「おら、寝んぞ。電気消すで」

「は？本気でこのまま寝るの？」

重「この前車で寝た時よりは広いやろ。
はい、おーやーすーみー」


それはそう、だけど...。
だけど、同じベットに年頃の男女が並んで寝るのはどうなのよ。

だけどしげはそのまま本当に電気を消して、2人にかかるように布団をかけると背中を向けて。
これ、本当に寝る気じゃん。


...こっそり抜けてソファに移動しよ。
少し時間を置いて、タイミングを計ってベットから出るように手をついて体を起こした。


重「...アカンで。このまま寝ろや」


いつの間にかこっちに体を向けてたしげの手が、私の手を掴んだ。

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