7色の後ろ側 6《赤》

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しげと一哉がお会計の前にいて、しげの手元には私の鞄。
私が戻ってきた事に気づくと腕を掴まれてそのまま外に連れ出された。


「え、ご飯代」

重「俺が出しといたからええわ」

「うそ、払うよ。いくら？」

重「ええって。はよ帰ろ」


そう言うしげは少し機嫌が悪そうに見える。
さっきまであんな楽しそうにしてたのに、やっぱり気遣って楽しむフリしてくれてたのかな。


「ん、わかった。じゃあ、お疲れ様。
なんかゆっくりできなくてごめんね」

重「は？お前帰らんの？」

「一哉に声かけたら行くよ。しげ今日車じゃん。先帰って大丈夫だよ、ファンの人に見つかったらあれだし」

「...わかった。お疲れ」


しげは不満そうな顔してたけどそのまま先に駐車場に向かった。
少ししたら一哉が出てくる。


一「おまたせー...ってしげは？」

「今日自分の車だったから先に帰らせた。
ファンに見つかったら大変だし」

一「あー、そっか。マネージャーって言っても女だしな、その辺気遣うか」

「うん。しげプライペートは探られたくないタイプだし」

一「ふーん。
なんかいい意味でさ、気取ってない普通の奴だよな。
アイドルってもっとイケイケだと思ってた(笑)」

「でしょ。それが彼の魅力ですよ」


お店の前にある小さなベンチに腰掛けて鞄の中身を整理する一哉を見下ろす。
それに気づいて空いた隣をぽんと叩かれたけど、首を振ってそのままでいたら苦笑いされた。


一「警戒されてんなぁ(笑)」

「そんなんじゃ、ないけど...」

一「しげに言ってたんだ？俺らが昔付き合ってた事」

「あー、うん。
しげにって言うかメンバーの何人かは知ってる。
うちに遊びきた時に写真見られて」

一「は？アイドルとマネージャーってそんな仲良いの！？」

「年も近いからね、あと皆フレンドリーだし。
...それじゃ」


一哉が立ち上がったのを確認して、別れを告げて駐車場へ向かう。
またね、とは言えなかった。

一哉はそれに返事をしない変わり私の横に並んで歩き出した。


一「送らせてよ」

「私も車だから」

一「うん、だから駐車場まで」

「...ん」


街灯が暗い夜道に2人の影を作る。
それぞれに伸びた２つの影が１つになった。
それは、一哉が私の手を掴んだからで。


一「こういう写メ、いっぱい撮ったよな」

「...そうだったね」


デート先で影を作っては2人で写メに収めてた。
ほぼ地面しか写らないのに、いつの間にかできた2人だけの約束が当時はたまらなく嬉しかったのを思い出す。

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