7色の後ろ側 5《赤》

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私の心臓がバクバクとうるさい音を立てている。

それが恐怖心からなかのか、握った手の恥ずかしさからなのか。
それを判断する余裕すらない。


舗装もろくにされていない道をしげと手を繋いで歩く。

なんでこんな時に限ってバカみたいな話とかしてくれないんだろう。

だから余計に耳に入ってくる。
滝の流れる音と、自分の心臓の、音。



重「こっから階段やで、足元気ぃつけや」

「ん」


足元をスマホのライトで照らしながらしげがこっちを振り返り言った。

暗くて唯一良かったのは、今の私の表情がしげにバレない事くらい。



長い階段をゆっくり下ると、滝の音がより一層聞こえてくる。


重「滝の音すげーな」

「ほんとに」

重「あとさ、やっぱ涼しいな。滝の近くまでくると」

「確かに」

重「寒ない？大丈夫か？」

「大丈夫。しげは？」

重「大丈夫...ぅわっ」

「ちょっ...！！」


しがが急にぐんっと何かに引っ張られてるように階段から落ちそうになって、慌てて繋いでた手に力を入れる。
やめてやめて！こわいこわいこわい！



重「うおー、足元滑った。びびったー！」

「足滑っただけ！？びっくりさせないでよー...」

重「この辺足元濡れてんねんもん。これのおかげで転ばんですんだわ、流石マネージャー(笑)」


そう言ったら繋いでた手をぶんぶん振る。
もう、なんなの...。


重「あ！」

「...今度は何？」

重「いや、ええわ」

「は？」

重「ええからとりあえず滝まで行こ。もうちょっとやで」

「待って。本当に怖いから」

重「大丈夫大丈夫(笑)」

「ちょっともー...」




そのまま下りきると大きな滝が姿を現した。


「「おおー...」」


「夜の滝って初めて見る」

重「かっこええな」

「迫力すごい」


ザーザーと水が流れる音と、湿った土とか木の匂い。
そして目の前に流れる大きな滝はすごい迫力がある。

もう目も暗闇に慣れてきていて、滝もしげの表情もしっかり見える。


重「うわー、写真撮りたいけどさすがに怖いわ(笑)」

「やめとこ。それはやめとこ」


面白そうに笑うと、繋いでた手がぱっと離れる。
まぁ、そりゃ、そっか。滝着いたし。

そのまましげが後ろに回ったと思ったら後ろから頭を両手でぐっと掴まれる。


「うぇっ？何！？」

重「お前なんぼビビんねん(笑)
ちゃうわ。こっち」


そのままぐいっと頭を上にむかせられた。

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