7色の後ろ側 5《赤》

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side 美和


「「お疲れ様でーす！」」


今は事務所近くの小洒落たイタリアンにいる。
Aと2人で飲むのはAがこの仕事始めてから初。

チンっと軽い音を立ててワイングラスを合わせた。

久しぶりに2人でご飯食べようって誘ったら嬉しそうにしちゃって。
かわいいやつめ。


「はぁ、ワイン美味しい」

美「ここ食事もいい感じだから」

「今日彼はいいの？」

Aは気を遣って名前を出さないようにしてるみたい。
まぁ、ここ個室じゃないしね。


美「うん。たまには女だけで食べたくない？」

「すっごいわかる！私前職が女の子だけだったから、こんな男の人と一緒にいるの初で...」


疲れ方が女の職場とはやっぱり違うねーとしみじみ言う。
Aは職場環境が本当にガラッとかわったから。


美「楽しくやれてはいる？」

「もちろん！すごい楽しい、やっぱり皆かっこいいからさ、間近で彼らの姿見れるのはいいよね。
...あ、食事の取り分け各自でいい？」

美「うん、食べたいだけとってこ。
てか見てるだけじゃないでしょ、支えてんのよ私達が」

「ふふ(笑)
私はまだそのレベルにはなれてないけど、ゆくゆくはそう言えるように頑張ります」


Aがピシッと背筋伸ばして小さく頭をさげる。
今でも十分よくやってるのに。


美「あー、ごめん。
今日は仕事以外の話メインにしよ！
ワインボトルで入れていい？飲みきったら解散ね！」

「ちょっと、明日の仕事大丈夫？(笑)」

美「余裕でしょ」


白のボトルと追加オーダーをして私達はスパークリングを飲み干した。





美「てかさ、A今日連絡先交換したの？」

「あー、山田さん？」

美「そうそう」

「交換した、ちょっと話したんだけど結構話弾んで。今度ご飯行きましょーって」


生ハムをつまみながらAが言う。
その表情があまり楽しそうじゃないもんだから。


美「全然乗り気じゃないでしょ」

「んー、でもね、恋愛的な事もしていかなきゃって思ってはいるの」

美「していかなきゃってあんた」

「だってさー」

美「最年少がうるさいからでしょ」

「...」


Aが渋い顔してワインを口をつける。


美「吐き出しときなって」

「〜〜〜っ。
正直、それが一番楽な気がして」

美「うん」

「その子も静かになると思うし」

美「うん」

「あいつだって、私に相手ができればメンバーと恋愛ごとはなくなるから安心するだろうし」

あいつっていうのは重岡の事なんだろうけど。
重岡の気持ちなんて外野からしたらだいぶわかりやすいのに。
当事者同士はこんなにも気づかないなんて。

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