7色の後ろ側 5《赤》

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side 小瀧

なんとなく。なんとなくやで？
最近しげ機嫌悪い気がすんねん。

ロケ合間の休憩、俺はいつもの様にAに絡んどる。

ほれ、今やってAと俺の事じとーっとした顔で見とって。
ブラックしげちゃんやん。

例の女の子と上手くいっとらんのやろか。
それでラブラブな俺ら見て羨ましくなっちゃった的な？


望「男の嫉妬は見苦しいで」

重「あ？何言うてんねん」


Aに逃げられた俺はしげに近づき声をかける。
しげは水飲みながら知らんふりしよるし。


望「妬いてんねんやろ？」


俺とAに♡


重「そんなんちゃうわ！俺よりお前が妬くんちゃう？」

望「は？なんで？」

重「本人に聞けや！」


力強くそう言うと、トイレ！！と言い残してしげが歩き出した。
あまりの声の大きさに周りのスタッフさんやらメンバーもこっちを振り向く。


えー...意味わからん。


Aを探したけど席を外しとるらしくて確認もできひん。

そのままきょろきょろ辺りを見渡したら、美和さんと淳太がしげの背中みながら溜息ついとるのが見えた。

















side A

結局しげの誕生日の日、一哉に折り返しの連絡はしていない。

だって、する必要なんてない。

ただの元彼だし。今はもう他人だし。
あれ以降向こうからの連絡もない所を見ると、間違ってかけてしまった可能性だって十分にあるし。


この事をしげに伝えるべきなのか。
でも伝えて何になるって言うんだろう。
私としげの関係はただのマネージャーとアイドルでしかない。


あの時だって、たまたましげにも液晶画面の文字が見えて、ただ気を使って帰っただけで。
こんなに気にしているのは私だけなのかもしれなくて。

現にしげはあの日以降、一哉との電話について私に何か聞いてくることは無く。
直後の現場でもいつも通りの様子だった。


ただ、しげはきっと誤解してる。
私と一哉がまだ連絡を取り合ってるんだと。
もしかしたら本当は別れてもいないって思ってるかも。

...しげは私と望の事気にしてる。
それならいっそこのまま他に相手がいるって勘違いさせておいた方がいいのかな...




そろっと現場から離れてある場所へ向かう。

照史くんの車のキーにフレンチブルドッグのキーホルダーを取り付けながら、溜息が漏れた。

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