7色の後ろ側 5《赤》

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side 重岡

人多いから離れて市場歩いとって、刺身定食の美味しそうな店を見つけた。

深海魚の刺身やって、そういやAが沼津いうたら深海魚って言ってたな。
ここでええやんと思ってちらっと後ろ見たら、あいつ干物に夢中になってんねん。
おいコラ(笑)


男「すみません、並んでます？」

重「ん？あ、はい。すんません」


したら後ろからきたであろう男女グループに声をかけられて、慌てて答える。
...ったくあのアホ。

電話したら間抜け面して振り返って俺に気づくと列に並んだ。

まぁこの方がバレへんし。
そう思っとったのに。



「「...」」


お前なに結局隣に案内されとんねん(笑)


お互い目ぇも合わへんとおるけど内心笑いこらえるの必死やった。
俺のが先に頼んだ刺身定食がきて、そのまま食べ出す。
おい。チラ見すな(笑)

Aの頼んだ煮魚定食がくる頃には俺は粗方食い終わっとって。
ほんの少しだけ肩並べて飯食って。

先に会計済ませて店を出た。
その辺見てるからゆっくり食べてええぞってメールを送る。


ぷらぷら店見て、深海水族館とかめっちゃ気になるけどそれはさすがに無理やし。
海っぺりに立って今日撮った写メを見る。

Aの写った写真、めっちゃええ感じなんやけど。
濱ちゃんすごい褒めてくれそう。
やけどさすがにこれは待ち受けにでけへんし、それとは別に撮った空と海の写真を設定する。



少ししたらAから食べ終わった連絡が入ってパーキング向かった。
車覗いたらもうAは運転席に座っとって、俺を見るなり笑い出す。


「...何のために個々で店入ったのよ(笑)」

重「俺の台詞や！(笑)」

「笑い堪えるの大変だったー(笑)」

重「ほんまやで！(笑)
てか美味かったなぁ、やっぱ鮮度大事やわ」

「煮魚も美味しかったよー
こういうのシェアできないのちょっと残念だね」

重「まぁしゃーないわ。
ほれ、お前が物欲しそうに見てたやつ」

「ん？...あー、ホッケの干物！」

重「年頃の女がこんなんで喜んでええんか？(笑)」

「美味しそうだったんだもん。
ありがと、嬉しい！」


待っとる間に買った干物を渡せば目を輝かせて受け取りよって。
普通こんなんでそない喜ぶか？安い女やなぁ(笑)
まぁあげがいがある気はせんでもないけど。


「よーし帰るよー」

重「おー」


まだ朝日が眩しい時間、俺たちは車をだした。

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