7色の後ろ側 3《赤》 (ページ6)

今日:17 hit、昨日:65 hit、合計:587,760 hit

6 ページ6

美『え、何。神山何も言わずにキスだけしてきたってこと...鼻に(笑)』

こら、最後笑ってるの電話越しでもわかるからな。

「...まぁ、そういう事です」

美『Aそれ私に報告したら場合によっちゃクビになるとか思わなかったの？』

「いや、そこは然るべき対応をと思いまして。
そもそも2人で出かけたの自体NGだったんじゃないなって...
マネージャーとして意識低かったかなって」

少しの沈黙。

美『...うんと、じゃあとりあえず仕事として言うと。
うちの事務所は別に恋愛禁止とかのルールはないの、恋愛は自由です。
ただ、ファンを悲しませるような事はするなっていうのが大前提にある訳で』

「はい」

美『そうすると、自ずと一般的な男女交際は難しくなってくでしょ？
ファンはやっぱりうちの子達に恋してる子が多いから、リスク高いしね。
恋愛自体を避ける子もいれば、ファンを悲しませないよう気を配りながら恋愛してる子など多種多様です。』

「えっ」

美『なに？』

「そんな恋愛してる子いるの！？」

美『いるよー、うちの事務所に年頃男子がいったい何人いると思ってんのよ。
そんなん規制かけてどうこうなるもんじゃないし、恋愛経験が仕事に対してプラスの影響になる事も多いしね』

「...美和とか」

美『え？』

「美和と中間さん、とか」

再び少しの沈黙。

美『...まぁね』

「やっぱ、そうなんだ」

美『まぁそれがあの王子キャラに影響を与えてるとは思えないけどね(笑)』

あれは素だよ、素。と電話越しの美和は可笑しそうに笑う。

美『何、いつから気づいてたの？』

「気づいてた訳じゃなくて、お似合いだなーって思ってたから」

2人の空気感に好感を持っていた私は素直に嬉しかった。

「...皆知ってるの？」

美『事務所の上の人達と、WEST のメンバーと、そこそこ交流ある事務所の子達は知ってるっていうか、了承を得る為に説得した』

「うわ、かっこいい」

美『そんな良いもんじゃないよ。本当、大変だったんだから(笑)』

そりゃ、そっか。
そうだよね、うん。

美『私の事はいいから！
どうすんのよ、これから』

「え、クビじゃないなら仕事続けたいです」

美『いや、今辞められて困るの私だから。
じゃなくて神山と！』

「どうもこうも、何１つ始まってすらいないからなぁ」

美『神山何考えてキスしたんだろうね』

「そんなの私が一番知りたいって。
とりあえず、皆さんには言わない方向で。
...できたら中間さんにも」

美『もちろん』

仕事の存続を確認して、美和との電話は終わった。
スマホを見ると通話中に別の着信が...小瀧さん？