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side 重岡
駐車場から歩いてる途中、Aにがっと腕を掴まれて提案されたのがこれ。
“スーパー内は別行動。それぞれ好きに買い物して車合流。飲み物はしげが買う”
それだけ伝えたらAは1人ちゃっちゃかスーパーへ入って行った。
いや逆に飲み物以外で何買う気やねんお前。
俺は適当に飲み物と、あ、スナック菓子も何か買って「あの..重岡くんですかっ?」
重「ぅえ?あ、はい、そうっす」
急に女の子が俺の前に回り込んできて声をかけてきた。
制服着とるし恐らく高校生。
気ぃ使って小声で声かけてきてんけど、完璧油断しとったから軽く冷汗がでる。
「あの、応援してます...!
あ、握手してもらってもいいですか?」
重「ありがとうございますぅ。
あー...はい、大丈夫っすよ」
震えながら差し出された手を握り返すと、
女の子は顔真っ赤にして涙目になった。
そろっと女の子の後ろを見ればAが買い物カゴを持ちながら、じとーっとした顔でこっち見とる。
「(言わんこっちゃない)」
口パクでそう言うて、そろっとこっちに歩きながら左右を確認する。
誰か他の客にバレてないか気にしてるらしい。
「プライベートですよね?
ここに居たことは誰にも言いません!
ほんとにありがとうございます!!」
小声でそう言うと何度も小さく頭を下げて去って行った。
それを確認してすぐさまレジに向かう。
いい子っぽかったけど、一応後つけられたらヤバいしな。
どないしよ、タクった方がええかなぁ。
悩んどったらスマホの液晶画面が明るくなって、Aからの着信。
重「...はい」
『言わんこっちゃない』
重「ごめんて」
『しげは一応帰りタクシー使ってもらって』
重「ん、わかった」
『荷物預かるタイミングないから買ったのもそのままお願いします』
重「ん」
用件だけ伝えて電話はすぐに切れた。
A怒っとったよなー、うわー、怖。
ファンとの遭遇とか確率論やからしゃーないんやけど、ローカル駅っていうのが良くなかったわ。
これから待ち伏せとかされて、困るの俺やなくて小瀧やし。
小瀧に暫くここのスーパー使わん様に言わんとなぁ。
俺は慣れた手つきでタクシーに連絡して、とりあえず目立たん様に少し路地に入った。
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作者名:のら | 作成日時:2019年6月12日 1時