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骨董市の入口まで戻ると、約束通りに離れる手。
神「最後、一枚写真撮ろ。それで終わり。な?」
そんな風に真剣な顔でお願いされたら断れない事、神ちゃんはわかってる。
そう思うのに、私はやっぱり断れない。
神ちゃんは歯車、私はタイルを持ってインカメで一枚。
神「せーの、俺らは学生バカップル♡」
「ぶっ(笑)」
謎の掛け声でシャッター切るから笑ってしまった。
「何それ」
神「俺らの事に決まってるやろ?(笑)」
本当は全身撮りたかったんやけどなーって今の写真を見ながら呟いてる。
「さすがに誰かに撮ってもらうとかは止めましょう」
神「やんなぁ」
なんて話してたら丁度タイル屋さんが台車を引いて横を通った。
いかんせんほぼペアルックの私達。向こうも記憶してたんだろう、目が合うとぺこりと頭を下げてくれる。
次の瞬間には神ちゃんがその人の元へ。
すぐさま戻ってくると、私の腕を引き、骨董市と書かれた看板の横に立たせる。
神「あの人なら平気やろ、さっきも話してた訳やし」
いや、そうだけど...!
慌てる私を他所に撮るよーなんて声をかけてきて、ほら!ポーズ!って神ちゃんも急かしてくる。
2人でタイル持って写真に写ると店員さんも嬉しそうにしてくれた。
お礼を言ってスマホを受け取る。
最近の子ってインスタやるんだろ?これ店の名刺だからその写メと一緒に宣伝しといてよーなんて言って名刺を渡して去って行った。
ごめんなさい、これがインスタに載る事は一生ありません...。
神「なんかタイミングあったら店だけでも紹介してあげたいな」
「だね...」
タイル屋さんの背中を見送って、撮ってもらった写メを見返す。
神「これは学生バカップルにしか見えへんわ(笑)」
「間違いない(笑)」
ペアルックで笑う私達は、側から見て学生に見えたのも頷ける。
神「...ほんなら、これでごっこ遊びは終わりやな」
「うん」
神「こんなん、ドラマとかやないと出来ない経験やったからさ。
自分が思ってる以上に俺楽しんでしもた(笑)」
頭をかいて笑う姿になんだか切ない気持ちになる。
「いやいや、私こそ神ちゃんみたいなかっこいい人がデートしてくれて、夢みたいだったよ」
神「タメ口にもなったしな」
「え、あっ、すみ「あかん。それはこれからも変えんで」
「...うん」
神「帰ろか、ここまで電車やろ?車で送る」
「いや、大丈夫だよ」
神「断らんで、これは男として当然の事やから」
「ありがとう」
さっきまであんなに盛り上がっていたのに、駐車場まだでの道のりは、なんだか上手く会話ができなかった。
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作者名:のら | 作成日時:2019年6月12日 1時