指先に魔法、耳元に宇宙《緑》

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side神山

尚の事、どう伝えたらいいんやろう。
もちろんマネージャーなんて、言えへんし。


神「職場の子やねんけど、春くらいに入ってきた子やってん」

『わ、社内恋愛？』

神「俺の片思いやから社内恋愛ちゃうで(笑)
まぁ、ほんで、頑張り屋さんやねん。
俺の職場男ばっかで女の子っていうたらその子ともう1人くらいやし」

『アパレルなのに？
メンズブランドなんだっけ？』


...あかん、油断した。


神「お、ん。そう、そう。
メンズブランドやから、女の子のスタッフさん少ないねん」


へーって納得した声を出すのを聞いてほっとした。
自分で自分の首絞めてんのわかるけど、嘘って大変やな。
一度つくと、終わりがない。


神「元々全然違う環境で仕事しとった子やから、たぶん馴染むん大変やったと思うねん。
やけどさ、弱音も吐かんとやっとってさぁ。
そんなんフォローしてあげたなるやん？

あとな、意外とギャップあんねん。
小さくて、年下に見えるくらいなのにな」


『...そんなに好きなら、諦めないで時間かけて振り向かせたらいいじゃん』

神「え、」

『え？だって、今ちょっと聞いただけで智さんがその人の事すごく好きなの伝わったよ？
一度振られても、それで諦めなくてもいいと思う』


さらっとそう言う姿に、なんとなくのんちゃんを思い出す。
それは若さからなんか、俺の特殊な状況を知らんからなんか。


神「そもそも、うち社内恋愛禁止やねん」

『え！？』

神「まぁ、やから。言うたら好きになった時点でアウトなんよ」

『だって、そんなの、ある？
そりゃあその後別れたりしたら大変とかはあると思うけど...』

神「それでもしとる人もな、おんねん。
やけど俺はリスク考えたらそこまで頑張ろうって思えへんくて」

『うん』

神「これからも皆で頑張ってこうなって話して、終わらせた」

『...そうだったんだ』


そういう終わりもあるんだねって話すAちゃんはそれでもどこか納得してなさそうやった。


神「どしたん？」

『え？』

神「声がふてくされとる(笑)」

『だって...』

『私は智さんの事、まだ全然知らないけど。
それでも智さんはきっと優しくて、いい人な気がするから。
その人がね、もったいないなぁって思う』

神「...」

『こんな素敵な人から好意を寄せてもらえてるのに、考える間もなく終わりなんて』

神「...そんなん言うてもらえる程、ええ人間とちゃうよ」


俺が言うてる事を全部信じて、そんな嘘吐きの俺をいい人って言ってくれるAちゃんの言葉に胸が痛んだ。

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