八十二松目 「差し出された手」 ページ44
『......私はやっぱり....前に進むことができないのかも知れない....』
初めて母親を亡くした時、私の中の何かがごろっと落ちた気がした。
それまで貰って来た母の愛、母の憂い、母の情。
そのすべてが思い出となって脳裏によみがえってくる。
私の母という存在がこの世から消えてしまったのだ。
母が亡くなってからは父も私のことを気遣い、母の分まで愛情を注いでくれた。
でもそれは長くは続かなかった。
父も私と同じ傷を背負っていたからだ。
耐えられなかったのだろう、世界で一番慕っていた相手がこの世からいなくなってしまったのだから。
父は私に手を挙げた上、自暴自棄になり、それから私は誰からも愛情を受けずに育ってきた。
..........でも今は違う。
松野達やたくさんの仲間ができて母がいた頃の感情が甦ってきたのだ。
それと共に母との思い出も頭にうっすら流れていく。
あれだけ過去のことを忘れようとしたのに、どうしても甦って来るんだ。
「A.....」
『どうしても.....お前たちといると昔のことを思い出すんだ...
母がいた時のことを....』
私は涙を抑えられなくなり、両手で自分の顔を覆う。
今まで昔のことなんて忘れて前に進んできた{つもり}だった。
でも母が居なくなったことは、今でもずっと心の奥に潜んでる。
そしてそれを失くすことはできない。
「それでもAは前に進もうとしてるじゃん。」
『おそ松......』
「過去を引きずってしまうのなら、それに敵わないような新しい未来をつくろうよ。
俺らと一緒に。」
そうはにかんでおそ松は私に向かって手を差し出す。
........取ってもいいのだろうか、この手を
また私情に巻き込んで迷惑をかけてしまうかもしれない。そう思うとなかなか手を取ることができなかった。
その時
『.......わ...っ』
おそ松は考えてしまっていた私の手を引っ張り、私を腕の中に包んだ。
そしておそ松の肩にうずくまった私へこう言う。
「お前が手を取らないなら俺が取りに行く。必ず。」
そっと体から離し、「約束だからな」と
おそ松はそう微笑んで答えた。
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春の黒猫(プロフ) - なめこ豆腐味噌汁さん» コメントありがとうございます＾＾応援してくださって作者は感謝感激です！これからもよろしくお願いしますね＾＾ (2018年3月18日 2時) (
レス) id: 94c170d235 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ豆腐味噌汁(プロフ) - 更新待ってました(´∀`)この作品ほんと好きです!!!!!!!!!愛してます!!!!!!!!!なので更新頑張って下さい!!!!!!!!!ほんとに!!!!!!!!!応援してます!!!!!!!!! (2018年3月4日 15時) (レス) id: c4290caa64 (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - 和蘭芹さん» コメントありがとうございます！長い間更新できていなくてすみません...ただ今作成中ですので少々お待ち下さいませ！ (2018年3月3日 15時) (レス) id: 94c170d235 (このIDを非表示/違反報告)
和蘭芹 - めっっっちゃ良いところで切られたので雄叫びあげました(てか何ですかコレ…！文才アリアリのアリですよ！！更新ずっっと待ってます！！応援してますううううん”ん”ん”ん” (2018年2月22日 23時) (レス) id: 0bd5b50639 (このIDを非表示/違反報告)
春の黒猫(プロフ) - なめこ豆腐味噌汁さん» コメントありがとうございます(^^) まさか更新をずっと待ってくださっていた方がいるとは…泣 更新もぼちぼち頑張ります( ´ ▽ ` )ﾉ (2018年1月15日 0時) (レス) id: cc81ffe234 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はりゅりゅ | 作成日時：2016年6月5日 1時
