おかあさんではありません！4【歌.い.手】

＊ ページ25

「っ、ちょっと！天月さん！」
「なーにー？」
「離してください！」

すぐ離れようとしたのに背中に回された手がそれを許してくれない。

「Aちゃん、いい匂いするね」
「ぎゃー！」
「ちょっと、天月くんやりすぎ！！」

座って見ていたまふまふさんが立ちあがり引き離そうとすると、天月さんの力が強いのか、それともまふまふさんが弱いのかそれは叶わなかった。

「まふくんはマネージャーになってもらったりもしたじゃん。ズルいよ」
「それは今関係ないでしょ！」
「じゃああと10秒ー」

「絶対だからね！じゅーきゅー...」とカウントし始めたまふまふさん。
私はなんとか逃れようと暴れてはいるけれど、ビクともしなかった。

「あ、Aちゃん。はいチーズ」
「へ？」

突然そんなことを言われ顔を上げたと同時に聞こえたシャッター音。

「皆に自慢しよー」
「やめてぇぇぇ！」
「はい、天月くん10秒経った！離して！」
「早くない？まふくんのけちー」

やっと離れたはいいけれど、

「あの、まふまふさん」
「何？」
「.....離してください」

今度はまふまふさんに抱きしめられた。
お願いだ、もう勘弁してくれ。

「あ、まふくんはダメでしょ」
「天月くんばっかりにやらせてたまるかー」
「...えい」
「うわ、ちょっとAちゃん力強い」
「.......まふまふさん、弱すぎてちょっとびっくりしてます」

天月さんの時と同じように抜け出そうとしたら、いとも簡単に出来てしまった。
とにかく、忘れ物は回収したし次の仕事もあるから帰らなければ。

「もう帰りますからね！」
「うん、もう満足したからいいよ〜。あ、今度俺とも遊ぼうね」
「考えさせてください」
「ひど」

やっと解放されたはいいけれど、

「どういうことだか説明してもらおうか」

いつの間にか天月さんの手で拡散されたらしい写真について、いろんな人から問い詰められることになるとは思いもしなかった。


(何大人しく抱きしめられてんだ！)
(蹴り入れろ)
(俺もぎゅーするー！)
(なんでAちゃんはそんなに無防備やねん！)
(.....どうして私が怒られるんですか！？)



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本編ではあまり登場しなかった天月さん。
書こう書こうと思っていたら番外編になってしまいました。
ちょうどよくリクエストも頂いたので久々の登場です。
ありがとうございました！

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