おかあさんではありません！4【歌.い.手】

＊ ページ23

「あ！」

田中さんと格闘していた坂田が突然、玄関へ走り出した。

「Aー！！！」
「え、ちょ！なんでチャイム鳴らす前に出たんですか！？怖い！！...っぐえ、お、重い...」

少ししか離れてなかったのに懐かしく感じる声に、俺達は玄関へ向かった。

「あれ、鈴木。直帰じゃなかったのか？」
「田中さん、お疲れ様です。...少し心配だったので。あとこの人退かしてください」

これでもかと言うくらいAに抱き着いていた坂田は、いとも簡単に剥がされた。

「...A、遅い」
「む、これでも早く帰ってきたんですよ！二次会断ったんですから...て、志麻さん何泣いてるんですか」
「いや、久しぶりの女子って思って...。やっぱ女の子はええ匂いやなー！」
「ぎゃー！くっつかないでください！！」
「志麻くん、落ち着いて。Aちゃんもお疲れ様。どうでした？あの2人のマネージャーは」

「すっごく楽しかったです！あとめちゃくちゃ楽でした！楽すぎて皆さんのダメさが際立ちました！」

お酒が入ってるせいか、オブラートに全く包むことなく発せられた言葉に全員か「...あっそ」としか言えなかった。

「...じゃああっちのマネージャーになる？」

少し意地悪してやろうと思い聞いてみると、キョトンとした顔で首を傾げてきた。

「なりませんよ？皆さんのこと好きですし」
「っ、」

突然のデレに何も言えなかった。
皮肉のひとつでもと思っていたのに、ただ顔が熱くなっただけ。

(...やられた)

「...鈴木、見た目よりも酔っ払ってるな、これ」

そう言って田中さんは「水飲めよー」とAの手を引きキッチンへと連れていった。

「あれは、やばいな」
「...俺らだけの特権ってことで」
「A可愛かったなぁ」

志麻、センラ、坂田も同様に顔を赤くしていた。
きっとそらるさんとまふまふは、こんなAを見たことはないだろう。
少しの優越感にさっきまでの少しの嫉妬心が晴れていくようだった。



(...そういえば田中さんって坂田さんのこと結構お気に入りですよね)
(実家の犬みたいで構いたくなる)
(あー...ちょっと分かるかも)
(はい、じゃあ水飲んで。家まで送るから)
(え、悪いですよ)
(鈴木を一人で帰したら俺が奥さんに怒られる)
(.....なんで？)
(あいつ、実はステプリのファンだったんだよ。しかもお前推し)
(...嘘ぉ！？)


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リクエストありがとうございました。

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