おかあさんではありません！4【歌.い.手】

＊ ページ19

「やっぱりAちゃん、僕らのマネージャーやってよ」

ソファーに倒れ込んだまふまふさんは「お願い」と可愛らしく両手を合わせた。

「...無理ですね」
「何でぇ」
「.....なかなか楽しいので。あの人たちのお世話」
「Aちゃんって、ドM？」
「違いますよ！」

心外です！と近くにあったぬいぐるみを投げつけると、見事にまふまふさんの顔にヒットしてしまった。

「ほら、移動しますよ！」
「え、ちょっと休ませて...」
「時間キツキツなんだよ、まふ早く起きて」
「そんなぁ〜」
「こんなにキツキツに予定組んで、まふまふさんの方がドMなんじゃないですか？」
「.....否定出来ないぃぃぃ」

「やだやだ」と駄々をこねるまふまふさんをそらるさんが引っ張り引きずっていく。

「10分で行くから下で待機してて」
「了解です！」

車のキーを握り急いで向かった。
10分出来るんだ...と少し感心してしまったのは内緒だ。
あの人たちと比べたら失礼だよね。


＊


目の前でどんどん進んでいくPV撮影に、ただただぽかんとすることしか出来なかった。

(本当にさっきまで死にそうな顔してた人？)

そう思うほどまふまふさんはかっこよかった。
そらるさんもいつもの気だるげな雰囲気から一変、大人の色気が漂っている。

「休憩です！」

その声に慌ててお水を2人へ手渡す。

「お疲れ様です」
「ありがとう」
「大丈夫？こういうの初めてでしょ？」

確かに。
浦島坂田船は実写でPVなんて撮影しないから初めての経験だ。

「すみません、あまりお役に立てなくて」
「そんなことないよ！Aちゃんのおかげで移動もスムーズにできたし、荷物も全部準備してくれたし」
「いやいや、運んだだけですし！」

むしろほとんど準備してくれてたからやることがほとんどない！
忘れ物の心配もしなくていいし、移動中に急にコンビニ寄りたいとか言わないし、次何やるの？って聞かれないし！！

「楽すぎて申し訳ない気持ちになってきました...」
「普段相当大変なんだね.....お疲れ」

なんて、そらるさんに同情されてしまった。

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