おかあさんではありません！4【歌.い.手】

もしものおはなし ページ2

「...本当に、守ってくれますか？」
「もちろん」


＊


ピピピ...

控えめに鳴るアラームを慌てて止める。
私を後ろから抱き込むようにして眠るこの人に、いまだに慣れない。
起こさないように体をよじらせ顔を覗き込む。
黒く少し癖のあるふわっとした前髪をはらうと、「...ん」と小さく吐息がもれた。

(.......やばいやばい)

あまりに色気のある声にドキッとしつつ、支度をするために起き上がろうとすると素早く腕を引かれた。

「...わっ、」
「.....おはよ」
「お、起きてたんですか」
「ん？今起きた」

そう言って甘えるように擦り寄るそらるさんの肩をやんわりと押した。

「何」
「支度しないといけないので」
「.....はぁ、なんで俺らのマネージャーにならなかったの？」

不満そうに言われても仕方がない。
あの事件が解決した後、なんやかんやあってそらるさんとの結婚が決まった。
もちろん仕事を辞めるつもりはなかったし、そらるさんも了承してくれた。
彼の意向通りAtRのマネージャーになっても良かったのだが、私の恩人である田中さんにどうしてもと言われてしまい、こうして浦島坂田船のマネージャーを続けている。

それが、そらるさんにはとても不満なようで。

「大丈夫？あいつらに変なことされてない？志麻くんに足触られたり、坂田に抱きつかれたり...」
「大丈夫です！ちゃんと対処してます」

こうして毎日のようにグチグチと言われるのだ。

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