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「うそ?A?何で、どしたん?」



拓実が慌てて

Aの肩をさすった。



「あ、あれ、ごめん。

違うねん。」



「何が?」



「ううん、ごめん。」



涙一粒一粒を自分の指で掬おうとするが、

次から次へと涙は溢れてくる。



「A、こっち向いて。

何で泣いてんの。」



Aは拓実と目を合わさずに

ふるふると首を横に振った。



「どっか痛い?」



またふるふると首を振る。



「ごめん…。」



『ごめん、ごめん。』と

つぶやくばかりで、

拓実は完全に困り果てた。



「何で謝るん?」



「違う…」



「違うって何?」



「川西くんが

優しすぎて…」



「何それ、俺何もしてへんで。」



再びふるふると首を振った。



「ううん。」



「何もしてへん。」



「してくれる。

それやのに…」



『それやのに』



続きを聞かなくても

Aが言わんとするところは

何となくわかった。



拓実はずっと触れないようにしていた言葉。



発さずにはいられなかった。



「…純喜くん?」



Aの肩がカタカタと震え、

じっと見て置かなければ分からないくらい

小さく、コクリとうなずいた。



拓実はサッと体中の血が抜けた気持ちがした。



初めて聞いたAの正直な気持ちだった。



拓実はそっとAを抱き寄せた。



正門前だった。



他の生徒の視線もあった。

でも、気にしていられなかった。



「ここ…学校やで。」



離れようとするAの肩を

ギュッと捕まえる。



「A、

俺じゃ、あかんの?」



「あかんとか、そうじゃない…。」



「俺にしてよ」



「…ごめん。」



「『ごめん』って言わんといて。」



「ごめん…。」



拓実は目頭に力を入れる。

Aの頭を優しくなでた。



「俺はそれでも

Aのことが好きや。」



Aはただ拓実の腕の中で泣くだけだった。

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設定タグ:JO1 , 河野純喜 , 川西拓実   
作品ジャンル:恋愛
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ののん(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます!私も更新するたび、hit数が上がると、読んでくださる方がいるんだなと実感できて、毎回更新するのが楽しみでした。次回のお話もぜひ読んでください! (2021年8月14日 22時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - 萌萌さん» コメントありがとうございます!私自身三人称で書いて行くのが初めてだったので、試行錯誤の繰り返しでした。次回のお話もぜひ読んでいただけると嬉しいです! (2021年8月14日 22時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - mbonchanさん» コメントありがとうございます!ルート説を読んでいる方に理解して頂くためには、同窓会まで繰り返さないと弱いかなと思い、同窓会のシーンまで書きました(^^)次回もぜひ読んでいただけるとうれしいです! (2021年8月14日 21時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - nanaさん» コメントありがとうございます!書き方などを勉強中なので、褒めていただいて、すごく嬉しいです(;_;)私も一応読み直してかきましたが、矛盾がないか不安です笑次回のお話もぜひ読んで下さいねー! (2021年8月14日 21時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - クミさん» コメントありがとうございます!楽しみと言ってくださる方がいたので、頑張って更新が出来ました(^^)次回も頻繁にアップ出来るように頑張ります! (2021年8月14日 21時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ののん | 作成日時:2021年7月22日 1時

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