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純喜がノートを受け取ったとき、

手がAの手に触れた。



Aは無意識にパッと手を引いた。



ノートが落ちるかと思った。



でも、純喜はノートをしっかりと掴んでいた。



Aの不自然な動きに、

純喜は気がつかなかったようだ。



『ありがとうなー』と



そっぽを向いてつぶやき、

席へ戻っていく。



保健室には純喜以外、

誰もいなかった。



Aは、

みんなみたいに純喜を

『純喜くん』と気軽に呼んだり、


世間話をしたり出来るような

気さくなノリはなかった。



先生はみんなの先生であって、

急に個人と個人が向かい合うと、

気まずい雰囲気になる。



あまり話さない先生なら尚更だ。



仕事を終えたAは

すぐに保健室を出ようとした。



「あ、A。」



純喜が呼び止めた。



手招きしている。



Aが踵を返し、

純喜の机の方へ行くと、


純喜は机の二段目の引き出しを開けて、

何かを掴んだ。



「手ぇ、出してみ?」



Aは言われるがまま、

純喜の前に手を出した。



指先が手のひらに触れた。



ソーダ味のアメだった。



「お疲れさん。

みんなには内緒な。」



純喜が人差し指を口にあてて

ニッと笑った。



テストを返すときに

みんなの反応を待っているときの

ワクワクした表情だ。



Aは、

これは何か反応しなくては、

と気負った。



でも、いつものように



「ありがとうございます。」



くすりと笑うだけだった。







純喜の温かな指先がAの手のひらに

余韻を残している。



純喜が色んな生徒に人気がある理由が

なんとなく分かった。



みんなに同じようなことを

やっているんだろう。



意外に強かな先生だ。と思った。



Aは保健室を出ると、

すぐにアメを口へ入れた。



アメは口の中でシュワシュワと弾けた。



Aは胸から同じように

シュワシュワと何かが弾けるのを感じた。

猫と手→←.....



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設定タグ:JO1 , 河野純喜 , 川西拓実   
作品ジャンル:恋愛
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ののん(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!色々あれやこれや悩んで試行錯誤しながら書いておりますので、そう言っていただけると、本当に励みになります!りんさんのコメント読んで嬉しくてニヤけちゃいました笑 (2021年4月29日 1時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。瑠姫くんの12時〜シリーズからののんさんのお話のファンになったのですが、このお話ほんっっっとに好きです、、、。本物の小説を読んでるみたいにドキドキしてしまいます。いつも素敵な物語をありがとうございます(T^T) (2021年4月28日 1時) (レス) id: a55fc0b198 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - はっぱさん» コメントありがとうございます(^^)全部読んでくださったんですか?ありがとうございます(T_T)期待に添えるお話を書けるかどうか不安ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月31日 23時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ - ののんさんのお話全て読ませていただきました!今回も推しの純喜くんが出るのでさらに楽しみです! (2021年3月31日 13時) (レス) id: ede0d803b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ののん | 作成日時:2021年3月28日 23時

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