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「A、家どの辺?」



「上町です。」



「まじで?

俺もそっち方面やわ。

そんなら家まで送ったろ。

そんな遠くもないし。」



つい二ヶ月前だったら、

すぐに断っていただろう。



今もさっきみたいに

遠慮のひとつぐらい

見せたほうが良いのかもしれない。



でも、たとえ断っても、

純喜はさっきみたいに

『ええから。ええから。』と

言ってくれるような気がした。



Aも、どこかで

純喜の思わぬ提案によろこんでいる

自分がいることに気づく。



この時間が長く続けばいい。



「じゃあ、お願いします。」



「おう。任せときー。」



純喜の返事は

いつもどおりの声質だった。



Aはホッとした。






いつも拓実と帰る並木道に沿って

純喜が車を走らせる。



「A、

最近拓実と一緒に帰ってんのか?」



「はい。」



「拓実、おもろいやろ。」



「そうですね。」



「あいつ、ええ奴やし。」



「そうですね。」



「ちょっとアホなとこあるけどな。」



「そうですね。」



「お前ら見てると

微笑ましくなるなあ。」



Aの返事はなかった。



ウィンカーの音が時を刻んでいる。



純喜がAの表情を確かめた。



Aの『そうですね。』の

バリエーションの豊かさに感服する。



「Aはそうでもないんか。」



「なにがですか?」



「いや、何もない。」



車が発車した。右折する。



純喜は拓実の話は

これ以上続かないことを悟った。



プライベートなことを聞かれたくないのか、

それとも拓実にそこまでの興味がないのか、



多分後者であることは

なんとなく純喜も分かっていた。



でも、敢えて深くは聞かなかった。

なるべく拓実を応援してやりたかった。

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設定タグ:JO1 , 河野純喜 , 川西拓実   
作品ジャンル:恋愛
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ののん(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!色々あれやこれや悩んで試行錯誤しながら書いておりますので、そう言っていただけると、本当に励みになります!りんさんのコメント読んで嬉しくてニヤけちゃいました笑 (2021年4月29日 1時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。瑠姫くんの12時〜シリーズからののんさんのお話のファンになったのですが、このお話ほんっっっとに好きです、、、。本物の小説を読んでるみたいにドキドキしてしまいます。いつも素敵な物語をありがとうございます(T^T) (2021年4月28日 1時) (レス) id: a55fc0b198 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - はっぱさん» コメントありがとうございます(^^)全部読んでくださったんですか?ありがとうございます(T_T)期待に添えるお話を書けるかどうか不安ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月31日 23時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ - ののんさんのお話全て読ませていただきました!今回も推しの純喜くんが出るのでさらに楽しみです! (2021年3月31日 13時) (レス) id: ede0d803b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ののん | 作成日時:2021年3月28日 23時

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