ハーマイオニー・グレンジャーとの出会い ページ10
「さて」
そう言ってAは首元のネクタイをキュッと締め上げた。
前日に買ってもらったばかりのスーツは、皺一つない。
マキマさんは私服も着ていたけど、やっぱこれだよな。
彼女のマキマ成り代わり計画は、ここから始まるのだ。誰も自分を知らない土地で、誰の反応も気にする事なく。
まずは口調と表情から意識していかないと。
「今日はゆっくり休んで、明日はダイアゴン横丁で買い物。そのあと入学式までの数日は、ゆっくり観光でもしようかな」
＊
翌日。Aがダイアゴン横丁に到着してまず向かったのは、杖屋だった。
杖はマホウトコロの選択科目で『西洋魔法史』並びに、西洋魔法の実習授業を選択していれば授業で必要なものとしてあらかじめ購入を促される。鎖国明けにできた授業で異国の魔法を学べる事で人気があり、マホウトコロ生であれば七割は選択しているのだが、生憎とAはその科目を選択しなかった。なのでこうして杖を買いに来たわけだ。
ほんの少し古ぼけた扉には、『オリバンダーの店──紀元前三八二年創業 高級杖メーカー』と書かれている。その扉を押し開けると、来客を知らせる鈴の音と、窓の割れる音、そして店主らしき老人の唸り声が聞こえた。
「ふむ、これは合わないか」
そう言うと老人は店の奥へと入っていった。
＊
今現在、この空間に残されているのは杖を選んでいる途中のふわふわした髪の少女と、恐らくはその少女の両親だ。
三人は窓を割ってしまったことに関してかなり萎縮しているようで、キョロキョロと辺りを見回している途中でAが目に入ったらしい。
「気にしないで大丈夫だと思うよ。自分に合わない杖を振ればこういうことも起きるって聞いたことあるんだ」
Aはマホウトコロで『西洋魔法史』を選択した人たちから聞いた話を少女に伝えた。原作でどのような描写があったかは忘れたが、映画では何かしらが壊れていた気がする。
少女とその両親はそれを聞いて、安心したように笑った。
Aはその笑顔を見てほんの少しだけ思考を停止した。
何故ならば、其の可愛らしく笑った少女が、ハーマイオニー・グレンジャーだったからだ。
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息抜き(プロフ) - 真昼さん» コメント有難う御座います！ 良いですよねぇ、ハリポタとチェンソーマン。 (2023年1月12日 22時) (
レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 好きな物語がクロスオーバーされていて、嬉しかったです！ (2023年1月12日 17時) (レス) id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：息抜き | 作成日時：2022年12月17日 17時
