ホグワーツへ行きたい 一 ページ7
Aはこの世の終わりのような顔をして家に帰った。
初日から大失敗だ。きっと友人二人は本気で嫌がれば揶揄うのをやめてくれるだろうが、他の人もそうだとは限らない。もういっそのこと、誰も私のことを知らない土地へ行って思う存分マキマムーブをかましたい。
そこまで考えてハッと顔を上げた。夕飯中だったので思わずコップに手が当たって水をこぼしそうになったが、なんとかこぼれずに済んだ。
目の前でカレーを頬張るAは少しだけびっくりした顔をし、(何故かいる)土御門は不思議そうな顔をしてAを見つめた。
＊
「あ、あの……私、ホグワーツに行きたいんだけど。ホグワーツで、勉強がしたい」
そこなら誰もA本来の性格や口調を知る人はいない。
国内では自由に動けるが、流石に国外となると親の許可もいるし、彼女の処遇を任されている土御門の許可も必要になる。
ちょうどいいや、と彼女は自分の望みを口にした。
ホグワーツならば彼女を知る人は誰一人いないから、どれだけマキマのような立ち居振る舞いをしても違和感を感じて笑われたり、揶揄われることもないのだ。
食事終わり、緊急で家族会議(一名は部外者)を開くことになった。
＊
「いや、まぁ俺としてはいいと思うんだ。なんたって娘からのお願いだしな。俺と土御門は学生の間にホグワーツに短期留学したことあるんだが、なかなか良かったし」
「えっ、聞いてない」
「言ってないからね。ただまあ、Aの様子を見るに、短期留学じゃなくてガッツリ向こうで学んで、向こうで卒業したい感じでしょ？」
土御門の言葉に「はい」と彼女は返事を返す。
Aは難しそうな顔をして何か考え始め、土御門は顎に手を当てて考える。
「そうなると、Aは今ちょうど十一歳だから、今年の九月に新入生として向こうに入学するのが一番いいんだろうが……」
「問題は、今年の新入生の入学名簿にAの名前が載ってるかだよねぇ。多分載ってないから入学許可証とか届かないよ」
Aはほんのちょっぴり寂しそうな顔をした。その顔を見て、Aもまた悔しそうな顔をする。
Aには二年間もの間監視生活を過ごさせてしまったんだ。どこへ行くにも人の目があって、のびのびと生活できなかったろうに。
そんな思いもあって、なんとか娘の願いは叶えてあげたいのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
息抜き(プロフ) - 真昼さん» コメント有難う御座います！ 良いですよねぇ、ハリポタとチェンソーマン。 (2023年1月12日 22時) (
レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 好きな物語がクロスオーバーされていて、嬉しかったです！ (2023年1月12日 17時) (レス) id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：息抜き | 作成日時：2022年12月17日 17時
