思い出す 二 ページ4
A家は土御門の分家だ。おまけに当主のAは土御門とお互いを兄弟だと称するほどの仲。
大層な家である事に違いはなかったが、Aは荒い口調からは想像できないほどに騒がしい事を好まず、静寂を好む。
だから家も、田畑と森に囲まれた田舎の町──さらにその外れに大きな日本家屋を構えていて、使用人の類は一人しか雇ってはいないのだ。
今はその使用人も「マホウトコロのクィディッチチームの合宿に行って、練習風景を見てみたいので」と、やけに美しいその顔をキラキラさせながら休みを満喫しているので、実質はいないも同然だ。
＊
帰宅して直ぐのAは、父が今晩カレーにする筈だったのに肝心のルーを忘れてしまったので、お使いを頼まれた。ついでに他の食材も買う為、大きめのエコバッグを持たせられる。
「それじゃあA、悪いけど頼むぞ」
「気をつけて行って来るんだよ、A」
エプロン姿の父と、(何故かいる)土御門に見送られてAは家を出た。
そして町中に唯一存在する小さなスーパーへと向かう為に、木々で囲まれた一本道を歩き始めたのだ。
＊
普段は一本道を歩くと虫の鳴き声や風に揺られて木々のぶつかり合う涼しげな音が聞こえてくるのだが、その日は辺りの森林で木々の伐採が行われているのか、チェンソーの音が響き渡っている。
多くの人がうるさいと不快感を抱く様な音だ。だが、不思議とAはそんな心地はしなかった。
ふと、Aは足を止めてみる。
彼女は小さな頃から、何かを忘れている様な感覚を患っていた。特に理由はなかったが、その『忘れているもの』を、チェンソーの音を聞いていれば思い出せる気がしたのだ。
数秒にも、数分にも感じられる時間の中、暑さでぼんやりとした頭の中に、とある単語が思い浮かぶ。
『チェンソーマン』という単語が。
その言葉と共に、次々と記憶が流れ出る。
「あ、え……え？ 私、転生しちゃってんじゃん」
そして彼女は自身の通う学校の名前や、他国の魔法学校の名前を思い返して、此処が『ハリー・ポッター』の世界だと気がついたのだ。
「此処、ハリポタの世界かよ！ おまけに私はマキマさんの能力持ち！」
そうして冒頭の部分に至る訳だ。
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息抜き(プロフ) - 真昼さん» コメント有難う御座います！ 良いですよねぇ、ハリポタとチェンソーマン。 (2023年1月12日 22時) (
レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 好きな物語がクロスオーバーされていて、嬉しかったです！ (2023年1月12日 17時) (レス) id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：息抜き | 作成日時：2022年12月17日 17時
