五十七話 亡くす ページ9
翌日。
神楽はこの前の看護師からAの訃報を聞いた
銀ちゃんに伝えると
そうかとだけ返事をし社長イスから空を眺めていた
わかっていたことだ。驚きはしない
それでも、ここ1ヶ月の病院にいる友達に会いにいくという日常が失くなったこの空っぽの気持ちは抜けない
彼女が待っていたのは
あの日から会えてない彼らだったのか
迫ってきている自らの終わりだったのか
今となってはわからない
それどころか雨の中会いにいってと頼み込んだあの男が最期にAに会いにいったのかさえわからない
彼女は最期、幸せだったか
痛く苦しいだけじゃなかったか
知りたくてもしれない。
残された側はそれを一生考え続ける
いつもなら病院に向く足が、今日はあてもなくふらふらと歩き続ける
「おや、チャイナさん」
声の主はずいぶん前Aにポピーをプレゼントしてくれた屁怒呂だった
今日も変わらず花に水をあげ大切に育てている
「あれからどうですか
お友達は元気になりましたか」
それを聞いた途端神楽の表情は曇る
黙って俯く彼女の泣き腫らした瞳を見て屁怒呂も上がっていた口角が落ちた
「....そうですか」
いつもは花を見れば、大好きなひまわりのような彼女に渡してあげるのにもうその必要もなくなった
一ヶ月間の何気なかった日常が、いなくなった友達によって大きく変わる
大切な人を亡くすというのはそういうことなのだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポテト(プロフ) - とても素晴らしい作品でした。作っていただきありがとうございます。 (2022年8月2日 1時) (
レス) @page35 id: becea61854 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - みーこさん» 中学生はとても感情が複雑でそれに受験が重なると苦しいことが多いかもしれませんがあまり気負わずご自身が出せる力を出して自分に合った場所を探せるといいなと思います。疲れたらいつでもひまわりの彼女に会いにきてくださいね！ (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - みーこさん» たくさんの作品にたくさん感動していた側の自分が新しく作品を作りあの頃の私のように感動してくださる方がいらっしゃるのはとても感慨深いです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - みーこさん» 愛情こもったコメントありがとうございます。嬉しすぎて泣いてしまいました。私もみーこさんのように読み漁っていた時期があり一通り読んだ後にもっとあんな設定でこんな文章の作品が読みたいと考えるようになったのがこの小説の執筆を始めたきっかけです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - やっぱり素晴らしいですね。花言葉のエモさを理解したし、色んなことを教わった作品。ボロ泣きした夢小説は少ないんですけど、そのひとつでした。今どうかはわかりませんが、この作品は永遠に不滅だと思ってます。銀魂が終わってもまた、訪れさせていただきます。 (2020年10月28日 21時) (レス) id: 322bb6492e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴 | 作成日時：2018年8月14日 23時
