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【番外篇】兄弟子 1 ページ25

「お前がAか」

声をかけてきたのは銀時さんより控えめな天然パーマの男性。
私よりも一回り年上のようだ。


名前を呼んだその声は、求めていたものをやっと見つけ出した感動の声ではなくて
ずっと気にかけていた人物に出会えたような自然な声色だった。

目の下には隈。
ただの睡眠不足には見えなかった。
晋助さんと同じように左目は閉じられている。

悲しみ…ではない何かを隠しているような…
そんな雰囲気をまとっていた。


「…背が伸びたな」

名前を呼ばれ目の前の男を見つめるAに
以前に会ったような言葉を言われ困惑する。

『どこかでお会いしましたか…?』

はっとした男はすまないと口にし、遅い自己紹介を始めた

「こちらが見知っているばかりに声をかけてしまったな。
昔、お前が幼い頃にすれ違った。

私とお前は相弟子なんだ」







村塾の縁側で話すことになった朧と名乗る男は
私達が幼少の頃、ここでどんな授業を受けてどんな稽古を習ったのか
興味深そうに聞いた。


でも私はうまく答えられなかった。

幼い頃すぐに体調を崩し、寝たきりになることも多かった為に
授業をしっかり受けられたことは少なく、そんな体では刀の稽古など受けられるはずもなかった。


「…ごめんなさい。
先生のことをもっと知りたいのに力になれなくて…」


本音も言えば自分もみんなと同じように授業を受けて
道場で稽古を習って晋助さん達と一緒にいたかったけど
それは無理な話だと自分が一番わかっていた。


「いや…Aは私と少し似ているのだな。
為したいことがあれども、決して壊れない壁によって為せぬ。

その悔しさともどかしさは己の中で渦巻き続ける」




耐えなければならないその苦しさに私は負けてしまったのだ。

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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 死ネタ   
作品ジャンル:アニメ
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ポテト(プロフ) - とても素晴らしい作品でした。作っていただきありがとうございます。 (2022年8月2日 1時) (レス) @page35 id: becea61854 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» 中学生はとても感情が複雑でそれに受験が重なると苦しいことが多いかもしれませんがあまり気負わずご自身が出せる力を出して自分に合った場所を探せるといいなと思います。疲れたらいつでもひまわりの彼女に会いにきてくださいね! (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» たくさんの作品にたくさん感動していた側の自分が新しく作品を作りあの頃の私のように感動してくださる方がいらっしゃるのはとても感慨深いです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーこさん» 愛情こもったコメントありがとうございます。嬉しすぎて泣いてしまいました。私もみーこさんのように読み漁っていた時期があり一通り読んだ後にもっとあんな設定でこんな文章の作品が読みたいと考えるようになったのがこの小説の執筆を始めたきっかけです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - やっぱり素晴らしいですね。花言葉のエモさを理解したし、色んなことを教わった作品。ボロ泣きした夢小説は少ないんですけど、そのひとつでした。今どうかはわかりませんが、この作品は永遠に不滅だと思ってます。銀魂が終わってもまた、訪れさせていただきます。 (2020年10月28日 21時) (レス) id: 322bb6492e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月14日 23時

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