【番外編】光を見る人 2 ページ19
昔から誰かとお茶をするのが大好きだった。
体調が良いときは必ず近くにお茶と菓子があり気の合う人達と話を弾ませていた。
今考えれば危ないことだったのだけど
外で知らない人にお菓子あげるよと誘われれば怪しみもせず着いていくぐらいにそれはもう茶菓子に目がなかった。
着いていけばすぐに晋助さんたちが飛んできて
知らない人はこてんぱんにされ
私は先生によく怒られていた。
横で倒れている知らない人をちょっと気の毒に思いながら。
そんなことがあったのに今もこうして知らない人.....いや、私を消そうとした人とお茶をしている様子を見たら
晋助さんは怒るより、とうとう呆れてしまうかな
確かに私に向けてきたあの殺気は偽りじゃない。
たくさんの人を斬ってきた者にしか出せないものだった。目の前の男.....岡田似蔵さんは人斬りの面を持っているのだと思う。
でも、今となりで過ぎた日々を想うような穏やかな表情で湯呑みを持つ彼もまた、岡田似蔵の持つ一面に感じる。
「お嬢ちゃんもあの光に惹かれた蛾なのかい」
「光...?」
「あの人から感じなかったかい?
ひどく不安定で.....攻撃的で
哀しい色を帯びていただろう」
あの人のそんな光を知ってか知らずか
人が集まっていたよ。
俺もそんな蛾共の一匹さ、と彼は笑った。
晋助さんの人を集める光......
私はそれを感じたことがなかった。
戦に赴き、鬼兵隊という軍にて総督をしている彼を私は知らない。
お家や君主など形作られ固められた窮屈な侍ではなく
違うなにかを探していた小さな侍。
私が知っている晋助さんはその姿だけだった。
それでも、己は何を為すべきかを見失っていた
あの頃の彼が今ではそれを見つけ出している。
そんなあの人の中の堅い決意が人を集めているのだとしたら、それはとても嬉しいことだと思う。
「そうですか。晋助さんはみんなから好かれていたんですね」
目の前にいる盲目の侍も私達とは違う形で惹かれた一人なんだ。
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ポテト(プロフ) - とても素晴らしい作品でした。作っていただきありがとうございます。 (2022年8月2日 1時) (レス) @page35 id: becea61854 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - みーこさん» 中学生はとても感情が複雑でそれに受験が重なると苦しいことが多いかもしれませんがあまり気負わずご自身が出せる力を出して自分に合った場所を探せるといいなと思います。疲れたらいつでもひまわりの彼女に会いにきてくださいね! (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - みーこさん» たくさんの作品にたくさん感動していた側の自分が新しく作品を作りあの頃の私のように感動してくださる方がいらっしゃるのはとても感慨深いです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - みーこさん» 愛情こもったコメントありがとうございます。嬉しすぎて泣いてしまいました。私もみーこさんのように読み漁っていた時期があり一通り読んだ後にもっとあんな設定でこんな文章の作品が読みたいと考えるようになったのがこの小説の執筆を始めたきっかけです。 (2020年11月2日 0時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - やっぱり素晴らしいですね。花言葉のエモさを理解したし、色んなことを教わった作品。ボロ泣きした夢小説は少ないんですけど、そのひとつでした。今どうかはわかりませんが、この作品は永遠に不滅だと思ってます。銀魂が終わってもまた、訪れさせていただきます。 (2020年10月28日 21時) (レス) id: 322bb6492e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴 | 作成日時:2018年8月14日 23時