この世界、魔法のレベルが低すぎる【ツイステ】

5話　彼女は気付く ページ8

後ろを振り返ってその「箱」の全貌を確認して寒気がした。
やっぱり棺桶だった。

そこで改めて周囲を見渡して、ほかにも結構な数の棺桶が浮いていることに気付く。
どう考えてもこのひとつひとつに人間が、いや人間でないにせよ、生き物が入っているであろうことは容易に想像できて顔を顰めた。
さっきまでこんなものの中に入っていたのかと思うとふつうに気分が悪い。
まだ死んだ覚えはないのだけれど、

「...あのからっぽの棺桶を見る限り、私のほかにも外に出た人がいるということよね」

私はぽつりとつぶやいた。

つまりこういうことだ。

私がまだ生きていてこの中から出てきたように、少なくとも一人は生きてあの棺桶から脱出している(その棺桶がすこし焦げているのは、不穏なので気付かなかったことにする)。

残りの棺桶に入っているうちどれくらいが生きているか分からないけれど、屍でないならそのうち出てくるだろう。

...とはいえ、出てきた先のこの場所が、安全である保証はない。
むしろ分からないことだらけで気味が悪い。

だれか出てきてしまう前にこの部屋を出て周りを見てこようかしら、でも危ないかしら。
逡巡しながら足元を見下ろしてまた別のことに気付く。

みっつめ。
服装が変わっている。
自分がいつも身に付けている指輪やピアスがなくなっているのはもちろんのこと、着ているのも簡単な旅装とその上にいつも纏っていたローブではない。

黒で統一されたハイネックのシャツとズボン。
生地にはぴったりと肌に吸い付くような上質の布が使われていて、着ていてとても気持ちがいい。
さっきからやけに外界の魔素と自分の体が馴染むのはこの服のお陰だろうか？

その上に着ているのは同じく黒のフード付きローブで、袖をゆったり作ってあるところや腰回りのサッシュベルトなどは、自分の普段使っているもののひとつと似たデザインになっていた。
ベルトとローブの裏地は深い紫色で、裏地や袖の裾、シャツの首周りには細かい金の刺繍が施されている。
総じて、上質な魔導士の服といった感じだろうか。

...っていや、この服も素敵だけど私の服はどこに行ったのかしら。
　

　

　

☆☆☆

どうもnomです、失礼します。
もう５話なのに展開が遅くて申し訳ありません。
どうしても展開を細かく書きたい病にかかってまして、、、優しい方はもう少しお付き合いください。

面白いのはここからなので！！！！(大声

6話　部屋を出て→←4話　棺桶の中から

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