episode2-2 ページ4
Aを探して真っ先に向かったのは6番道路。ナックルから西に位置するその道路は彼女が好きなポケモンが出るため、Aが一人で向かうとしたらそこだろうと踏んであった。
ワイルドエリアという選択肢もあるにはあるが、出現するポケモンのレベルは高く、ポケモンを連れていない人間にとっては戦場に向かうようなものだ。以前Aが無謀にもそこへ向かい、泣く羽目になったのは記憶に新しい。
6番道路の赤褐色の地肌が目立つそこでは少女一人の姿を見つけるのは簡単で、案の定Aは低木に隠れるようにしてしゃがみ込んでいた。
「A姉やっぱりここにいたのかよ」
Aはよほど集中していたのか、突然の訪問者に驚き、しゃがんでいた体勢を崩しかける。
「………!?キバナ、なんでここに!?てか、よくここが分かったね〜」
「おばさんが夕飯の時間だって呼んでた。それに、A姉が俺をほっぽって行くとこなんて、ここくらいしかないじゃん」
そりゃわかるわ、とAの隣で俺も一応腰を低くした。
「あれ??もしかして一緒に来たかったの??お姉様に放って置かれて寂しかったか〜??」
「んなわけあるか、ばぁーか」
「あは、ごめんごめん。それにね今日はどうしても見たいものがあって、思わず駆け込んできちゃったの。ほら、ねぇ、みてあそこ。」
茂みの間を割ってAが指差した方向には俺もよく知っているポケモンが巣の中で羽をしまって丸くなっていた。
「……フライゴン??」
「そう!それであそこほら、卵があるでしょ!!絶対もうすぐ孵化するよ!!」
フライゴンの巣にはいくつかの卵が紛れていて、小刻みに振動している。それらの中にはヒビが入りかけているものもあった。
「……本当だ」
以前から様子を見にきて生まれるのを待っていたのだと、Aはドヤ顔をする。
「でも、おばさん心配するかもしんないぞ」
「そん時はそん時。どうしても見届けたいの、見逃して〜!!」
どのシティでも卵が孵化するのを運が良ければ見ることはできるが、このように一度に同じ親から生まれた卵の孵化を見れることは少ない。俺としても、確かにこれは見届けたかった。
「ん。わかった」
「さっすがキバナ!わかってるぅ〜」
Aは俺に向けて満面の笑みを浮かべ、俺の肩を軽く叩いてきた。お互い隣にしゃがんでいるせいもあってかいつもより距離が近く感じた。
「…っほら、大事な瞬間見逃すぞ」
「ふふ、はーい」
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作者名:のーいふす | 作成日時:2019年12月1日 18時