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行成「いやぁ…目から鱗ですよ」
"佐緒里「暗いところで一方向から強い光で差すと…人の顔ってあまりきれいに見えないんです。
…ほら」
行成「…綺麗だ」
佐緒里「やだ、戸上さん…」
行成「いや、失礼。新しい店を出すときに参考にさせてもらいます」
佐緒里「新しい店?」"
延々とシーとの思い出を語る戸上。
あいつが帰ったのは…結局お店が終わる時間だった。
功一「麻布に店を出すんだろ?」
静奈「知ってたんだ。すごいね、まだ二十代なのに…」
功一「…っで、どうなのあいつ。高峰佐緒里に惚れてる感じあんの?」
ｻﾗっと…俺の膝を枕にしてまだ幸せそうに眠っているAの頭を撫でる。
静奈「うん…でもなんか…いつもと勝手が違うっていうか…手玉に取るっていう感じにはならないんだよね。洋食屋だからかもしれないけど」
そういって着替えるから、と部屋を区切るカーテンを閉め、シーの声はカーテンを通して聞こえてくる。
静奈「新しいお店の構想を放してくれたの」
"行成「一言でいうなら…お客様の会話が弾む店です。
ここもそうですが、今までのとがみ亭はどこも仕切りが高いというか、力気味すぎている。
もっと気さくで親しみやすい、家族連れもカップルもそれから外回りのサラリーマンも、自分ちだと思ってくつろげるような庶民的で温かいお店にしたいんです」"
静奈「それって…アリアケだよね」
カーテンから顔を覗かせたシーは嬉しそうにそういった。
静奈「うち、そういう店だよね」
功一「うん…」
静奈「彼の話聞いてたらなんか…私何やってるんだろうって。
ごめんね。子供のころあんな無邪気に笑ってたのに…なんでこうなっちゃたんだろうって。
ちょっと…嫌になっちゃった」
功一「…うん」
静奈「おにぃの言っている意味、やっと分かった。
こういうのもう…今回でやめようね」
功一「うん…」
静奈「…Aのこと…なんだか悲しませちゃいそうだし」
そういってシーはむにっと人差し指でAの頬を優しくさした。
「んんっ…」
眉間にしわを寄せるけど…その後また幸せそうに眠る。
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作者名：ぽかぽか笑顔
| 作成日時：2017年12月11日 22時
